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カフェ行った時も服屋行った時も…
「オレ、こっち頼むからAはそっち頼め。それで半分ずつ食えば、両方食えんだろ？」
「これ、A似合いそうじゃん。…ん、やっぱな」
「…私、鈍臭すぎない…？」
「え、何が？」
タカが大人すぎて自分が嫌になる。エスコートなんて何一つ出来てない。
やろうとしても手のひら返されて失敗に終わってしまう。
しかもこのキョトンとした顔！無意識だなコノヤロー！
何がダメ？何がいけない？
そんなの過去の自分に聞いたところで答えが出るはずもなく、時間ばかりがすぎていく。
もう…何をしたらいいのか、わかんないよ…。
結局その後も何も出来ないままだった。
日も落ちてきたし帰るかーってなった時、私は前を行くタカの袖をひいた。
「待って…私、タカに何もしてあげられてない…」
「…ん？」
「…今日、タカに休んでほしかった…。私がエスコートしてあげたかった…でも、なんもできなくて…ごめんなさい…」
情けない自分が悔しくて、何も出来ない自分が憎くて…惨めに視界が歪んでしまう。
「だから、もうちょっと待っ「A」…な、に…？」
フワっと安心する匂いに包まれたと同時に、視界が暗くなる。
首にまわった、タカのであろう腕が私を引きとめて離してくれない。
「オレは、Aがいてくれるだけで十分。エスコートなんかしなくてもオレの隣で笑っててくれればそれでいいンだよ」
「タ、カ…」
まわされた腕の力が弱まった。
すると、後ろでパチンと金属音が鳴り、首にひんやりとした感覚があった。
驚いて手をあてると、夕日でキラキラした小さいリボン型のネックレスが。
「な、に…これ…」
「今日付き合ってくれてありがとっていう…お礼みたいなもん」
「いつの間に…貰っちゃっていいの…？」
「オマエのために買ったやつだから、貰ってくんねェと困るんだわ」
「…ありがとう、大事にする…！」
貰ったばかりのネックレスを握りしめ、今日一の笑顔を向けた。
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作者名：月霜澪亜 | 作成日時：2022年12月7日 18時
