第10話 form of happiness ページ42
「おいAー?早くしねぇとおいてくぞー?」
「あぁ、待って!今いくから…!」
ドタバタと、準備をして家をでる。
「お兄ちゃん、Aお姉ちゃん!いってらっしゃーい!」
「おみやげ買ってきてねー!」
「うん、いってきます!」
「二人とも、いい子に留守番してんだぞ?」
「「はーい!」」って、元気よく返事をして、家の中へ入っていく。
「マナ、何して遊ぶ?」「お人形さんごっこしたい!」と、可愛らしい会話が聞こえてきて、頬をゆるめた。
「行くか」
「うん!」
「どこ行きてェ?」
「んー…あっ、えっと、あの最近できた…」
「駅前の雑貨屋?」
「そう、それ!」
さっすがタカ!と褒めると、「だろ?」ってドヤられた。
ムカついたので一蹴り。
「ほら、乗れ」
そう、跨るのは、ずっと変わってないタカのバイク。
当たり前かのように後ろに乗って、タカのお腹に手をまわす。
「乗るの、久しぶりかも」
「手ェ離して落ちるなよ?」
「そんな馬鹿なことはしませーん」
その証拠にお腹にまわした手に力を入れる。
それに笑って「はしんぞ」と合図をした。
はしり始めて数分後、心地いいバイクの風を浴びながら、ふと昔のことを思い出す。
「…あれから、もう二年経ってるんだね」
はやいなーと、すぎてく景色を見ながら言ってみる。
「あー、あの色々ありすぎた時の」
「そ。」
風邪ひいて喧嘩して、男に絡まれたとこを助けてもらったり、父親に遭遇しちゃったり、大忙しな中3の生活だった。
でもやっぱり、一番変わったとすれば、タカとの関係。
「私の
「それはわりィって何度も謝ってんじゃん」
「うん、何回も聞いてる」
にしし、と笑ってみせると「おりたら覚えとけ」と、宣告された。こわっ…
「…好きだよ」
前ぶりもなく、意図的に言葉にする。
「オレは愛してるけど?」
あぁ、もう!すぐ私を一枚越えてくる…!ずるい!と、思いながらも嬉しくて、私の顔はきっとゆるゆるだろう。
「A」
「なに?」
「何があっても、オレがお前を守ってやる」
ずっと一緒にいろよ?
優しい声が、言葉が、ゆっくりと私の心を動かしていく。
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作者名:月霜澪亜 | 作成日時:2022年12月7日 18時