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その言葉が、静かな家の中でゆっくりと消えていく。
えっ、と声を上げる。
思いもよらない質問に驚いていた。
思わず、震える口を早く動かす。
「び、びっくりした?フフン、安心して?私は元気だよ!ほ、ほら、さっきのは冗談、ジョークだよ。いつものノリーって感じで…。あ、料理中だったでしょ?ごめんね、邪魔しちゃって」
タカを解放し、離れようと腕を解いて一歩後ろにさがろうとした。
「…まてよ」
それとともに、タカの腕が私を捕らえるように、腰にまわってきて、逆に距離をつめられる。
今度は私が驚き、「わっ」と声をあげると、腰にまわってない右手が私の顎を持ち上げた。
すると、唇に柔らかいものが優しくおしつけられる。
それは、触れただけですぐ離れていったが、時が一瞬止まったように長く感じた。
目の前のいつになく真剣な顔をするタカしか見えずに、頭の中が麻痺したように働かなくなる。
「…Aさ、嘘つく時に目ェそらして右手で左手首掴むの気づかねェ?」
そっと、髪の毛を左耳にかけられる。
「何が嘘かは知らねェけど」
ねぇ、タカ。
「質問、答えてやるよ」
タカがさっき言ってたこと、そっくりそのまま返すね。
「好きだよ、どうしようもねェくらい。…女としてな」
─そんな顔で、こっち見ないでよ…。
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作者名:月霜澪亜 | 作成日時:2022年12月7日 18時