第9話 What is happiness ページ39
全てをタカにうち明けた日から数日。
父親は、どうやら警察に捕まったそう。
もともと、警戒してた組織の所属だったため、しばらくは出てこないと聞いた。
それはそれで、一安心。
しかし、私の悩みが一つ増えたのだ。
｢あの日以来、まともにタカの顔が見れない｣ことだ。
いてもたってもいられなくて、エマに相談にのってくれるようにお願いし、今、佐野家におじゃましている。
「しのっちから相談があるなんて珍しー。何があったの？…あ、もしかして…三ツ谷？」
ビクっと肩が跳ね上がる。それに気づいたエマは、急に表情を変えた。
「ははーん…図星かな〜？」
ニヤニヤとこちらを見てくる視線に、羞恥を覚え、体温が上昇していく。…お願い、エマ。その目で見つめてこないで…。
「…さ、最近ね？その…タカを見ると…ドキドキするっていうか…あのー…まともに顔が見れないというか…よ、よくわかんなくて…」
「しのっち」
ガシっと肩をつかまれ、深刻そうな顔で俯くエマ。
「え、エマ…？」
「落ち着いて聞いてね？」
「う、うん？」
いったい何を言われるんだ、と密かに構える。
「それ、"恋"じゃん！」
「…ん？」
ぱっと顔をあげ、キラキラに目を輝かす。私の手を掴み、ブンブンと勢いよく上下に振られた。
「そっか〜！やっとか〜！うち嬉しすぎて涙でそう！」
今度はわざとらしく泣き真似をしていた。
…今日のエマは、随分と忙しい。
「あのね、しのっち。しのっちは、三ツ谷のことを"異性として好き"になったの。そうだなー、三ツ谷といると、モヤモヤしたりする？」
「…する、かも」
「もう、完璧ね…」
｢いやー、よく頑張ったよ三ツ谷…｣と、腕を組んで一人で頷くエマを眺める。
「んで？告白しないの？」
「こ、こくはく…！？」
無理無理と首を横に振る。
すると、目の前で口を尖らせて綺麗な金髪をクルクルといじりながら、うーんと唸り始めた。
「じゃあ…三ツ谷に、自分の好意を気づいてもらわないといけないね…」
例えばーと、言葉を繋げる。
「アピールしたりとか！」
「あぴーる…？」
「手を繋いでみたりー、必要以上にくっついてみたりとか！」
「な、なるほど…」
威勢に圧倒されながらも、エマのアドバイスを聞き入れる。
「…出来るかな」
「大丈夫！しのっちならいける！」
その自信はどこから…？と、小さくツッコんであげた。
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作者名：月霜澪亜 | 作成日時：2022年12月7日 18時
