君と出逢ったあの日から。【三ツ谷隆】 (ページ37)

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だれか…！と、人を呼ぶ。

すぐにきてくれた人達は、驚いた後、目を伏せて悲しそうな顔をした。

─弟さんは…亡くなりました

その言葉が、私を絶望のどん底まで落とした。

篠佳さんも斗逢も、みんな私の前から消えてしまった。

この世界で、たった一人孤独な私。

篠佳さん、斗逢。

私に"幸せ"なんて無理だよ…。
二人とも、もういないじゃん。

私を愛してくれる人なんて、いないよ、きっと─。

すると、ドンっと誰かとぶつかった。

「わぁ…！って、すみません！大丈夫ですか…！」
「いえ…こちらこそごめんなさい…。それでは…」
「まって。…オレでよければ…話、ききましょうか…？」
「え…？」
「なんか、話たそうな顔してたんで…」

控えめに、こちらをうかがうようにして話す彼。

紫がかった、シルバーの瞳と目が合う。

「あ、オレ『三ツ谷隆』っていいます」

君は？と、聞かれた時に迷った。

『一条』として名乗るのか…それとも…

ふと、篠佳さんの顔を思い出した。

本里篠本…本、篠…

─篠本

「…篠本A…」

自分でも、しっくりきた。篠佳さんの名前からできた名字。

｢Aちゃん！｣と、笑顔で私を呼ぶ篠佳さんを思い出し、胸が温かくなる。

…私に、少しでも"幸せ"をくれた人が、自分の名前に入ってる。

単純に嬉しかった。

そして…

「じゃあ、Aちゃんね。よろしくな！」

新しい、"出逢い"をくれた。

私のすべてが変化した。

とっても、良い方向へと─。