片想いラピスラズリ*【花巻貴大】 (ページ3)

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ラピスラズリページ3

一目惚れといっても、この気持ちが果たして〝恋〟なのかは分からない。
どうも私は生まれてこのかた、恋というものをした事がないから。

「Aが……とうとう……」

『お前はオカンか』

「おめでとうAちゃん！」

『いやあのねぇ！？』

分からないんだって、この気持ちが、恋なのか。

「分からなくてもとりあえずそんな感情を持てただけでAは凄いよ……！」

夜々子は力説してくるしみうは涙目だ。
そんなに恋してなかったのが不味かった？

「で、どんな人なの？」

まだ涙声のみうが聞いてくる。
どんな人、かぁ。

それがさ。

『お、覚えてないんだよね……』

二人の動きがピタリと止まる。
ですよね……覚えてないとか私の頭やばいよね。

「ちょちょちょ！なんでもいいから思い出せ！！頑張って！！ミルクティー奢るからさ！」

「わ、私も奢るから！思い出して！？」

『頑張る』

ミルクティーで釣られる私。随分単純だなって思うよ。

『んー……あ、ラピスラズリのネックレス着けてた』

「よくそんな所まで見えたな！！」

ごもっともです。でも視力は2.0でかなりいい方だからさ。

『あとは……』

「体型とか髪色とか顔の特徴とかは！？」

おあいにくさま、まったく脳裏にすら浮かばないわ。