>>晴天な彼女 ページ7
数秒考えて、店の外に出てスマホを復活させ電話をかける。寝ているかもしれないが起きてもらおう。急な電話にワンコールで出たのに引きつつ、とりあえずおはようと言ってみる。
『……何?寝てたんだけど』
『財布忘れたから、服が買えない。財布もって最速で来て』
『俺のことパシリだと思ってんだろ。財布くらい持ってけよ、バカかよ』
『……位置情報送るから。ついでにSuicaの残金も少ないからキヨが来ないと帰れないってことだけ伝えとく』
『Aが正真正銘、生粋のバカで不安だわ』
位置情報を送って電源を切る。これでなんやかんや言いつつ来てくれるだろう。ちなみにSuicaの残金がないのは嘘だ。財布は忘れたが、そんなへまは流石にしない。
ベンチに座って自販機で買ったいろはすを飲んでいると、見慣れた長身の男がやって来て、店に連れていかれ、さっきの服を何故か奢ってくれた。なんて紳士。自分で払うと言ったが、私の財布は持ってきてないらしい。なんでだよ。
「ねぇA、人の睡眠を奪った罪は重いの知ってる?それに飲み物買えてんじゃん。チャージできてんじゃねぇかよ」
「私がデートしようとしてること知れて良かったって思っときなよ」
「調子いいやつ。てか、ひとりで出かけてこんなことなるなら最初から俺も連れてけば良かったんじゃねぇの?」
「デートは誘ってもらいたい派だから、私が忘れかけた頃に誘ってね」
軽く私の頭をはたいた手を捕まえて、2人で夕暮れに影を伸ばして帰路についた。
「そんなに頑張らなくていいじゃんって言ってくれた君が眩しくて。ずっと光り続ける優等生じゃなくてもいいって教えたのはキヨだから、少しくらいわがまま言ってもいいですか?」
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#めんどくさい #外出たよ #誘われたい派
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作者名:涙(るい) | 作成日時:2021年2月1日 7時