冒険者へ (ページ3)

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今日は、お母さんがいない日。

電子レンジの中に、夜ご飯のオムライスが入れてある。

何かあったらすぐ電話してねと散々言われた。

ついでに、夜も早く寝なさいと釘をさされちゃった。

「あ～今このおうちにいるのは俺だけ！明日の昼まで、俺だけだ～！！」

リビングのソファーの上に立って大きな声を出してみる。

……もちろん、誰もそんな俺を怒らない。

「今日は、やりたい放題だぁー！！」

ひゃっほーーい！！！

ソファーからドシンッと着地した、その瞬間。

バサバサバサッッ

俺の部屋から、何かが地面に散らばる音が聞こえた。

「_____え、嘘…だぁれ？」

俺だけじゃないの？

まさか、幽霊…！？

そう考えたら、急に怖くなってきた。

じっと耳をすましていると、今度は

パラパラ…

と何かがめくれる音がした。

まるで…なんか絵本の音みたいな…

「だっ、誰だ_____！」

ソファーのクッションを盾みたいに構えて、怒鳴ってみる。

幽霊も怖いけど、泥棒だったらどうしよう…！？

怖いし、うう…トイレ行きたくなってきた…

でも、お母さんも帰ってこないし、俺がなんとかしなきゃ…！

震える足になんとか力を入れて、じっと俺の部屋を見る。

「おりゃああああああ！！！」

バンッッ！！

雄叫びをあげながら、クッションを突き出して部屋のドアを開ける。

「わ………」

男の子。

金髪の、綺麗な男の子。

俺の第一印象は、それだった。

「君、ここの家の子？」

青い目をゆっくり俺の方に向けて、そう聞いてきた。

目よりも深い青色をしたコートのような分厚い服を着て、金色の星のペンダントを首に下げている。

明らかに日本人じゃなさそうだし、てゆうか、誰！？

「そ、そうだけど…！俺、二階堂高嗣…！」

「ふうん。タカシ。」

「お、お前、誰！？どうやって入ってきたの…？まさか幽霊なの…！？」

男の子はゆっくりと足元を指差した。

つられて下を見る。

そこにあるのは、絵本。

小さい頃、おばあちゃんに買ってもらった絵本。

「ここから来た。」

「は？」

「絵本の世界から来たんだよ。俺、ケントっていうの。魔法が使えるんだ。」

嘘でしょ！？

魔法使い！？

ホンモノの！？

「タカシくん、君を助けるために来たんだよ。」

彼はニッコリと笑った。