10人目は頑張り屋さん22 (ページ37)

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最後のSOS ページ37

深澤side

めめとラウから聞かされた話は
どうしても信じたくないものだった。

だけど、これが現実。

結局、守ったつもりになっていただけで
大切なものは何一つ見えていなくて...

俺達は、また過ちを犯していたんだ。

"ガチャ"

楽屋に戻ると、呆然とソファに座り込むAと
心配そうにAを囲むメンバー。

『...っ..』

意を決して、Aの前にしゃがみ込む。

『...A、辛かったね。』

そう言った瞬間、
Aの目からポロポロと涙が溢れ出す。

「ふっかさん...」

『ん？どうした？』

「...私、もう出たくない。もう休みたい..っ...」

翔「っ！」

康「..っ...」

舘「..っ...」

舘さんと翔太と康二が息を呑むのが分かった。

阿部ちゃんと佐久間が顔を見合わせたのが分かった。

めめとラウと照が、動きを止めたのが分かった。

Aが発したSOSは、それくらいに衝撃だった。

どんな時でも

「まだ出来る。」「まだ頑張れる。」

そうやって言い続けてきたAが
初めて発した「出たくない。休みたい。」という言葉

もう限界なんだと、ここにいた誰もが悟った。

相当、勇気がいる言葉だったと思う。

それでも、自分を傷つけるまで一人で頑張りすぎてしまうAが、俺達に限界を教えてくれたことが嬉しかった。

『...教えてくれてありがとう。』

ポロポロと涙をこぼし続けるAが
可哀想で、愛おしくて、切なくて、
ありったけの力を込めてギュッと抱きしめた。

もう頑張らなくていいよ。

もう休もうね。

そう言ってやろうとしたのに...

"ガチャ"

早川「出番まであと30分だぞ。
雪白、早く着替えてメイク直してこい。」

またコイツだ。

後ろから入ってきた時田さんは
俺達の様子を見た瞬間、全てを悟ったような顔をした

佐「時田さん、早川さん。Aを休ませます。
もう限界です。これ以上の無理はさせられません。」

早川「は？何言ってんだ。早く着替えてこい！！」

阿「このままだったら取り返しのつかないことになる。もう貴方の好き勝手にはさせません。」

時田「...早川さん。現場の指揮権を持っているのは私です。私の判断で雪白Aは欠席させます。」

早川「勝手なことを言うな！！
ほら、早く立つんだ！！！」