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「 ……どういう事だ……? 」


「 何度も確認しましたが……不審人物は愚か、
  降谷さんのお姿も映っていませんね。」








さっきから何度も風見と映像を見直すが、
僕を運び込んだ少女の姿以前に、

運び込まれる僕の姿すら映っていない。



正面入口、裏口、非常口。

どこを確認しても、
僕も、彼女も映らないのは何故だ?








「 これは不可解ですね…… 」


「 ……風見。
  僕はこれからポアロに出勤しなければいけない。

  僕がいない間にこの事態に何か進展があれば、
  すぐに連絡を入れるんだ、いいな? 」


「 はい、降谷さんもご無理なさらず…… 」


「 ……メモにも、そんなことが書かれていたな。」








薄い水色のメモを折りたたんでゴミ箱に放り込み、
更衣室へ向かってラフな格好に着替えた。

昨晩の彼女のおかげで行動に支障は無いし、
これならポアロでのバイトもいつも通りできる。


考えれば考えるほど難解な事案だが、
くよくよ考えていても仕方が無いのが事実だ。

きっと時間が解決してくれるだろう。



そう思って、僕は荷物を一式持って警察庁から出た。









__________
_____









「 いやぁ、何度見てもね……
  降谷さんもその不審人物もいませんよ? 」








降谷さんが件の喫茶店に行かれた後、
私は部下たちと防犯カメラの映像を何度も確認した。

しかし流れるのは、
目的のものが映っていない映像のみ。


もしや、あれは降谷さんの妄言……?


元々仕事熱心なお方だ。

相当仕事に集中していたのだろうが、
あのメモにあったように降谷さんは数日寝ていない。

睡眠はおろか、食事すらもまともにお摂りにならない。

降谷さん、疲れからあのような事を……?








「 風見さん!! 」


「 昨夜、何者かが……
  警察庁が管理している個人情報のデータベースに
  アクセスしています! 」








そんな時、2人の部下が慌てた様子で駆け込んできた。

警察庁のデータベースに、
何者かが不正アクセスを試みた、と言う。








「 なに!? 特定は! 」


「 そ、それが、何も残されていなくて…… 」








使用されたパソコンの特定も、
パソコンがどこで使用されたのかも分からない。


まるで幽霊のようだ、と部下は言う。


姿の無い降谷さんの恩人(不審人物)
幽霊が現れたかのような不正アクセス……








「 思ったより厄介になりそうだ…… 」









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作者名:杠葉 | 作成日時:2021年7月15日 8時

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