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【狂い咲く薔薇】
ぼんやりと天を駆ける感覚に身を任せる。下にはロンドンの街並み。マグルには見えないように認識阻害魔法がかけられているから安心だ。
「A、身体の方は大丈夫なのかい?」
『えぇ、薬を飲めば大丈夫でしてよ。ホグワーツに入ってからも特に困ったことはないし』
「なら良かった。イザベラ義姉さんが心配していたと手紙に書いてあったからね」
『……もしかしてお父様達がパリに行かせたのってこのことなの?』
「頭の回転が早いね、レディ。君の身体を蝕む先祖返り。そのためのパリ、そのための私さ」
先祖返り。それが原因でホグワーツ入学まではスリザリンの屋敷で軟禁生活を送っていた。だから友人の一人も居なかったのである。
先祖返りというのは遠い祖先の体質、種族としての在り方が遥か後に生まれた子孫に突然変異として現れることを指す。Aがそうだ。
母方のソルベット家は元々、エルフなどの魔力量に富んだ種族だった。イザベラは人間だが、祖先はそういう魔法系統の亜人である。
「幸運なことに少しばかり研究が進んでね」
『……そう』
「その顔、期待していないだろう。無理もないけれど。何せ君の先祖返りは吸血鬼(ヴァンピール)。力の強い種族だ」
ファブリスはファブリス・メアダムという名で、ボーバトン魔法アカデミーの闇の魔術に対する防衛術の教授をしている。研究もその一つ。
最も先祖返りの研究をしているのはAの為というのが大きな理由であろう。Aを実の娘のように可愛がっている。
彼には妻も恋人もいない。こんなに顔が良いのに何故か。それはやはり研究者でもあるからであろう。いつの時代も熱心な研究者はそうだ。
『吸血鬼(ヴァンパイア)、ね』
窓に映るAの深紅の瞳が仄かに輝く。それがまるで自分は人間ではないのだ、と知らしめているようで嫌だ。窓から視線を反らす。
クリスマス休暇。今年は忙しくなりそうだ、と他人事のように考えながらAはゆっくりと長い睫毛を伏せた。
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あまね(プロフ) - ヴァンパイア⁉️めちゃ好きです🫶 (9月9日 21時) (
レス) @page32 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
くりきんとん - 主人公の秘密だったりリドルの独占欲がじわじわと感じられる描写など、すごく面白いです！文章も細かく書かれているため内容が薄すぎなくてスラスラ読みやすかったです！更新大変かと思いますが頑張ってください！続き楽しみにしています！ (2022年3月20日 15時) (レス) id: aa56424b90 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - つづきが気になります！ (2022年3月20日 0時) (レス) @page28 id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
レネット(プロフ) - トム・リドル大好きなんです！更新楽しみにしてます！頑張ってください！ (2021年6月12日 1時) (レス) id: ec8ec8961f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：セニオリス | 作成日時：2021年6月5日 17時
