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私の声は… ページ7

「恋をすると声を失ってしまうのよ」

睡蓮が少し寂しそうに言う。

其れだけ?本当に?

「…本当に其れだけか?」

中也も違和感を感じたらしく睡蓮に問うた。

「私の声は人を動かすの。私が王女だからかも知れないけれど」

人を動かす…。

「異能力じゃなくてかい?」

睡蓮がコクリと首を縦に動かした。

「…ん?手前王女なのか?」

「そうよ…」

睡蓮が王女だと聞いても違和感が無かった。

それ程までに彼女は王の様な存在だった。

「でも、兄弟からは嫌われてるのよ」

悲しげに言う睡蓮は少しだけ目を細めた。

「何かされたのかい?」

瞳に怒りが見えて私は気になった。

「…貴方達に言う事じゃ無いわ」

そんな所も綺麗なのだけどね。

少しは頼ってはくれないかい?

「教えろよ」

「貴方達は人間だわ」

其処で線引きされてしまう。

「君も今は人間の姿をしているだろう?」

中也が口籠るが私は睡蓮に問いただす。

「…言った事を他言するな」

睡蓮の綺麗な海色の瞳が私達を捕えた。

其の瞬間、何か絶対的な力に押し潰されそうな感覚に囚われた。

「ごめんなさい。命令じゃないとこの力は効かないの」

「良いさ」

睡蓮の命令なら何でも聞いてあげたいよ。

「…兄弟から暗殺されそうになったのよ」

余り悲しそうでは無く、諦めた様な表情で睡蓮が言った。

「何でだよ!兄弟だろ?」

中也が怒り心頭で叫ぶ。

「本当の兄弟じゃ無いのかい?」

考えられるのが一つしか無かった。

「そうよ。でも、私の方が王の血筋よ」

瞳に怒りを乗せて睡蓮が言う。

「君は逃げて来たのだね」

「そう、私は自由になりたくて此処に来たの」

睡蓮は自由に焦がれていたのか。

「君は私達と同じ仕事をするだろう?」

「ええ、私は太宰と中原しか頼る人がいないわ」

気付いてるのかなぁ?

天然で甘えてるのだけど。

中也何て顔が真っ赤だし、いや私も似たような物だろうけど。

「太宰の家にはお風呂あるの?」

「あるけど入るかい?」

睡蓮が興味深そうに風呂場に向かって覗き込んだ。

「…水の中に入りたいの」

ゆらりと瞳が揺れてゾクリとした。

この世の者では無い事をはっきりと認識する。

水を溜めてあげると睡蓮が手を水につけていた。

「入んのか?」

「中原も入る?」

「駄目!!」

何故こんなにも危機感がないのだろうか?

「…太宰も?」

避難の声が上がらず驚いた声が横から上がった。

「手前!!其れッ!?」

人魚なのだね→←ニンゲンデスヨ?



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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 双黒 , 人魚姫   
作品ジャンル:恋愛
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心結(プロフ) - いえいえ!笑 小説書き頑張ってね(*^^*) (2017年9月14日 17時) (レス) id: ccce44416b (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - 心結さん» 分かるよー!ありがと(≧▽≦) (2017年9月14日 17時) (レス) id: 81cc73b64b (このIDを非表示/違反報告)
心結(プロフ) - 多分誰かは分かると思いますけど笑 色々読ませてもらいますね、爆笑 個人的にこのお話は結構好きですよー。 (2017年9月14日 17時) (レス) id: ccce44416b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:彼岸花 | 作成日時:2017年3月31日 9時

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