ニンゲンデスヨ? ページ6
固まったまま微動だにしない睡蓮。
そんな表情も、彼女の気品さを惹き立てていた。
こんなに綺麗な彼女は、触れたら壊れてしまいそうだ。
「何者って、私は記憶喪失で自分の名前しか思い出せないわ」
そっと目を伏せて睡蓮が言った。
「記憶喪失だって嘘だろう?」
睡蓮が怯えた様に私を見上げた。
「…嘘じゃ無いわ」
瞳には恐怖が宿っている。
「別に殺しはしないさ」
私が言うと、少し迷った様に目を泳がせた。
「…人間じゃねぇのか?」
中也がやや言いにくそうにそう言った。
「…ワタシニンゲンデスヨ?」
「「嘘だろう/嘘つくんじゃねぇよ」」
分かりやす過ぎる。
人間と言う言葉には、過剰に反応している。
やはり、人間じゃないのだろう。
睡蓮は海辺にいた。
…人魚?睡蓮が?
童話じゃあるまいし。
異能力の線は無さそうだ。
私に触れているのだから。
「…外の空気を吸いたいわ」
睡蓮が外に出ようとした。
その手に隠し持っている短剣は何だい?
私は彼女の手を掴む。
「自サツ何てさせないよ?」
「ッ!…違うわ」
鈴の鳴る様な声で否定した。
「手前自サツ何てすんなよ」
「私は、貴方達に殺されるなら自分で自害するわ」
瞳には決意が宿っている。
王の様な気高さと気品を漂わせていた。
何て気高くて誇り高い女性だろうか?
こんな女性に今まで一度も会った事が無い。
「殺さないと言っただろう?」
「私の正体を知ったらそんな事を言えないでしょう?」
きゅと眉を寄せて睡蓮が私達を睨んだ。
「殺さねぇって言ってんだろ?早く教えろよ」
中也が急かすと、睡蓮が迷っていた。
「じゃあ武器を捨てよう」
私は武器等を睡蓮の前に捨てた。
睡蓮は目を丸くして見ていた。
「…銃…?」
初めて見る様な表情だ。
「そうだよ。さぁ、教えてよ」
睡蓮は銃を見て、私達を見てから口を開いた。
「…人魚、なの」
小さくかすれる声で囁いた。
「人魚?」
「人間は恐い生き物なのでしょう?」
睡蓮がそう聞いた。
人魚…睡蓮は水が似合う。
「何でだよ」
「殺された人魚がいるわ」
「童話があるからねぇ」
いるだろう、人間とはそういう生き物だ。
「そう…その方が良いのかも知れないわ」
一瞬だけ瞳に陰った光がよぎった。
「何故だい?」
「…人魚の世界は人間の世界よりも酷いわ」
「ねぇ、何故恋が出来ないんだい?」
少し其処だけが引っかかるのだ。
何を隠してるんだい?
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心結(プロフ) - いえいえ!笑 小説書き頑張ってね(*^^*) (2017年9月14日 17時) (レス) id: ccce44416b (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - 心結さん» 分かるよー!ありがと(≧▽≦) (2017年9月14日 17時) (レス) id: 81cc73b64b (このIDを非表示/違反報告)
心結(プロフ) - 多分誰かは分かると思いますけど笑 色々読ませてもらいますね、爆笑 個人的にこのお話は結構好きですよー。 (2017年9月14日 17時) (レス) id: ccce44416b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彼岸花 | 作成日時:2017年3月31日 9時