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また会えるかも知れないのなら、私は… ページ17

「太宰さん、また入水したんですか?」

敦君が心配そうに問うてきた。

「そうだよ、お陰で財布が流されてしまった」

「何で何時も入水ばかりするんですか?」

私はまた足を踏み出した。

「…さぁねぇ」

「何処に行くんですか?」

「今日は天気が良いからねぇ」

敦君に背を向けて歩く。

『水の中なら、睡蓮、君に会える気がするんだよ』

あの時私を助けて消えた君に…

ねぇ、君は今でも海の底にいるんだろう?

ーーー
心中後
君は何処に居るの?

何故何故、私は生きて居るの?

嗚呼、私を生かす為に甘んじて心中してくれたんだ。

そして、此処まで連れて来たのは彼女だ。

「何で何で…君を失ったら私はどうすれば良いんだい?」

君の最後の言葉は何だったの?

「愛してるよ…本当に愛しているんだ」

ねぇ、消えないで。

私の前からもう消えないで。

君の温もりをまだ忘れていないよ。

まだ君の温もりが手に残っているんだ。

あのまま死にたかった。

君と一緒にこの世を去りたかった。

でも、君は自分の想いよりも私の命を選んだんだろう?

「大した人魚姫だよ」

そんな君だから惹かれたし、そんな君だから好きなんだ。

「でも、また会えるかも知れないのなら、私は…また入水するよ」

君が守った命で君に会いに行かせてよ。

また君に会って愛の言葉を囁かせてくれ給え。

「さぁ、入水でもしようかなぁ」

ーーー

また水の冷たい感覚が身を包む。

温かい熱が消えていく。

水の中に居ると、君の表情が鮮明に思い出せるんだ。

そして、私は毎日誰かに助けられるんだ。

其れが、睡蓮だって言う確信は無いけれど、君だったら良いなぁ。

『やっぱり、またしてるのね』

甘い甘い声が聴こえた。

嗚呼、やっぱり君だ。

私、実は何時も死んだ振りしてるだけなのだよね。

「残念、逃さないよ」

『え⁉きゃっ…太宰、気絶してたんじゃっ!』

人魚姿の睡蓮が驚いて逃げようとするが、陸では余り上手く動けない。

「うふふ、君が陸に近付くのを待って居たのだよ」

『ええぇ⁉ちょっと太宰、何処行く気よ!』

「勿論私の家だよ?」

『ちょっと太宰!』

見つからない様に早く帰らなくてはね。

睡蓮を担いで出来るだけ早く歩く。

すると、探偵社にまだ敦君が居た。

「敦君、先程の問だけどね、私が入水するのは睡蓮を捕まえる為だよ」

「『えええぇ!?』」

「睡蓮、次は私の前から消えさせないよ?」

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 双黒 , 人魚姫   
作品ジャンル:恋愛
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心結(プロフ) - いえいえ!笑 小説書き頑張ってね(*^^*) (2017年9月14日 17時) (レス) id: ccce44416b (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - 心結さん» 分かるよー!ありがと(≧▽≦) (2017年9月14日 17時) (レス) id: 81cc73b64b (このIDを非表示/違反報告)
心結(プロフ) - 多分誰かは分かると思いますけど笑 色々読ませてもらいますね、爆笑 個人的にこのお話は結構好きですよー。 (2017年9月14日 17時) (レス) id: ccce44416b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:彼岸花 | 作成日時:2017年3月31日 9時

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