声が欲しい ページ15
声が出ない。
私の大事な声が出ないよ。
どれだけ頑張っても、聞こえるのは空気が通る音だけだ。
「ーッ！」
「睡蓮、無理すんな」
「睡蓮、もしかして誰かを好きになったのかい？」
二人が心配そうに此方を見ていた。
「…」
私は何も答えられなかった。
だって、声が出ないんですもの。
「ねぇ、誰だい？相手は…」
太宰、貴方よ。
私が好きになってしまったのは、貴方。
でも、好きになったらいけないの。
私には深い深い海が私を待って居るから。
「大丈夫か？睡蓮」
中原、ごめんなさい。
貴方の気持ちに答えられなくて。
私、さっき太宰が好きな事に気付いたの。
「ねぇ、文字は書ける？」
其の問に私は首を振った。
私は文字を読めるが書けないのだ。
「取り敢えず、手前は此処にいろ」
「私は首領に睡蓮の仕事を減らして貰う様に頼んで来るよ」
パタパタと太宰がかけて行った。
「なぁ、睡蓮」
何？中原と、口パクでそう問い返す。
「手前が好きになったのって、太宰だろ？」
そう言われ、私はどう答えて良いか分からなくなった。
彼を傷付けてはしまわないだろうか？
迷った末に微笑んだ。
「…んだよ、早く太宰に伝えろ」
クシャリと頭を撫でられた。
少しして中原に抱き締められた。
「少しくらい良いだろ」
彼と向き合って私は伝えたい言葉を伝えた。
『私を好きになってくれてありがとう』
声は出ないけれど、私の声で伝えたかった。
「次はあんな奴より俺を好きになれよ」
本当に優しい人ね。
「睡蓮!休みを貰ったよ！」
颯爽と部屋の中に入って来た太宰に中原が舌打ちをした。
少し苦笑しながら彼を見る。
「俺はやる事があるから帰る。じゃあな」
中原が太宰と入れ替わりで帰ってしまった。
「ねぇ、睡蓮。君が好きな人って、私かい？」
真っ黒で綺麗な瞳が私を射抜く。
「ねぇ、答えてよ」
私はどう言えば良いか分からずに沈黙する。
「私は君の事が好きだよ」
私は、此処に居たいと想ってしまう。
でも、私は海に帰らなくてはならないのだ。
だから、好きだけど、答えられない。
太宰に微笑みかける。
「ねぇ、好きだよ。愛してる、何処にも行かないでよ」
太宰が何かに気付いた様で私を抱き締めた。
ごめんなさい、私だって貴方の事を想っているわ。
私は見えない様に彼の髪に口付けを落とした。
『ねぇ太宰、愛してる』
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心結(プロフ) - いえいえ！笑 小説書き頑張ってね(*^^*) (2017年9月14日 17時) (
レス) id: ccce44416b (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - 心結さん» 分かるよー！ありがと(≧▽≦) (2017年9月14日 17時) (レス) id: 81cc73b64b (このIDを非表示/違反報告)
心結(プロフ) - 多分誰かは分かると思いますけど笑 色々読ませてもらいますね、爆笑 個人的にこのお話は結構好きですよー。 (2017年9月14日 17時) (レス) id: ccce44416b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彼岸花 | 作成日時：2017年3月31日 9時
