※22※ ページ22
私はこれからの事を詳細にクィレル先生に言い渡してドレスを選びに来たのだが、決まらない。
ク「何が嫌なんですか？」
『身体を出したくない…』
ク「貴女は綺麗何ですから、出せば良いでしょう！」
クィレル先生が段々お母さんみたいな感じになってきてる。
それに敬語じゃなくても良いって言われたし、何だか友達のような感じだ。
『本当に無理なのよ…』
私の身体をちらりと見せればクィレル先生の息を飲むような悲鳴が聞こえた。
大の男でもそんなに驚く傷なのか。
ク「何ですか、それ…」
クィレル先生の指摘は最もだろう。
ここまで痣のついた身体を見る事はないだろうし、服から見えない位置にばかり痣がある。
『分かったでしょう？お腹が見えるのも駄目だし、太もも辺りも駄目なの』
こんな身体を誰かに見られたくはない。
綺麗だと言われる度に私は自分を綺麗だと思ったことはない。
醜く汚いだろう。
私の身体や本当の私を知っても、彼らは綺麗だと言ってくれるのだろうか？
そんな期待をしてはいけないが、優しい彼らなら言ってくれるのかも知れない。
ク「誰から、こんな事を？」
『…両親』
こんな事を教えるなんて投げやりになってきてるなぁ。
でも、彼が裏切ったら私も破滅する。
それなら、一心同体だ。
ク「何故教えないんです？誰でも貴女を助ける人がっ…」
言いかけてクィレル先生は私の表情を見て悟ったのか口を閉じた。
『ホグワーツに来る前ですから。もう痛みませんよ』
優しい人なのか心を痛めてくれている。
誰にも話した事がなかったから、少しだけ気が紛れた気がした。
こんな事でこの傷は直らないというのに、馬鹿げていると自分に失笑してしまう。
この傷は、私がこの世界の住民ではないという事の証にもなるだろう。
ク「笑い事ではありませんよ！」
怒鳴られてハッと我にかえる。
でも、笑う事しか出来ないでしょう？
過去は変えられない。
親を子供は選べないのだから、仕方ない。
自分の中にあの人達の血が流れている事が一番恨めしい。
『…クィレル先生が心を痛めてくれるから私は大丈夫ですよ』
ク「貴女は誤魔化してばかりいて、本当に気付かないんですか？」
『何を…？』
ク「貴女の方が泣きそうな顔をしてるじゃないですか」
クィレル先生に言われて私は緩く首を振った。
『私には分からないわ』
薄く笑みを浮かべる事しか私には出来ない。
胸の痛みを感じる事は、もう出来なくなったのだから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 220人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
彼岸花(プロフ) - セナさん» ありがとうございます。続き更新していきますね！ (2022年3月3日 12時) (
レス) id: faf1357482 (このIDを非表示/違反報告)
セナ - 本当にこの物語面白いくて大好きです！彼岸花さんの無理のないよう、続きを待ってます！！( ´∀｀) (2022年2月20日 16時) (レス) @page36 id: 267bff52f8 (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - セブラブさん» ありがとうございます。もう少ししたら更新する予定です(^^)/ (2021年4月29日 23時) (レス) id: faf1357482 (このIDを非表示/違反報告)
セブラブ - この物語大好きです！続き待ってます！ (2021年4月22日 21時) (レス) id: c2a3af8909 (このIDを非表示/違反報告)
きょう - すごく面白いです！！ 続き楽しみにしてます♪( ´▽｀) (2021年4月16日 2時) (レス) id: 1bbac6ee91 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：彼岸花 | 作成日時：2021年2月22日 23時
