依存 48% ページ1
中原side
泣いているアイツがいた。
また太宰の事で泣くのか？
太宰がいなくなったんだから、俺の方を向けよ。
「奏」
名を呼ぶと、泣き腫れた顔で俺を見上げた。
「中也さん、私を部下にして下さい」
涙が伝う頬を気にせず、俺に言った。
「何でだ？首領に誘われてんじゃねぇのかよ？」
首領からの誘いがあるのに何故断るのかが分からない。
「私は、利益を上げる人形に何て成り下がりたくない」
泣き腫らした顔に、また涙が溜まる。
こんなに泣いているのは、太宰の為だ。
「そうか、分かった」
「ありがと、中也さん」
しおらしくも、俺の為の笑顔だった。
「中也で良い」
太宰が居ないんだ。
だったら、俺の物になれ。
「中也」
傷ついている癖に、人の為に笑うなよ。
「無理すんじゃねぇよ」
「中也、私置いてかれた」
初めて奏の方から抱き付かれた。
甘い香りがした。
百合の花の匂いだ。
「確かに私は足手まといだよ。けど、ひと目でも見せて欲しかった」
悲しそうに苦しそうに奏が初めて俺の前で弱音を吐いた。
太宰の為でも、俺を頼ってくれている。
太宰はずっとこんな気持ちだったのか。
だから、彼処までコイツに頼られたかったのか。
「あんな事言って繋ぎ止めて、びとい」
ポロポロと、涙を零しながら顔を歪めた。
綺麗だ、白く純粋なコイツが黒く夜色の感情を表に出している。
ゾッとする程綺麗で儚く、壊れかけていた。
だが、それ等全てが太宰に向けられた物だ。
その事に喉を掻きむしりたくなる程の喉の乾きを覚える。
その感情が、全て俺に向けば良い。
全て、一つ残らず俺が受け取りたい。
「私はどうすれば良いの？」
息を止めていたのを吐き出す様にスルスルと言葉を繋いでいた。
「何でキチンと教えてくれなかったの？」
「救いたくても貴方を救えない」
止まる事を知らず、喉が枯れるまで続けた。
涙が枯れるまで。
そうなる事を望んでいる様に見えた。
「帰るぞ」
「もう嫌だ」
泣いて泣き疲れて、俺の腕の中で眠ってしまった。
太宰しか、見ていないのは分かるが絶対に振り向かせる。
そして、俺だけを見て太宰寄りも依存させてやる。
絶対に離れないからな。
「俺に依存しろよ」
優しく奏の額にキスをして、俺は奏を抱き抱えた。
「絶対に、悲しませない」
そう誓い、奏を自分の部屋に連れ帰った。
月は黙って行く末を見守っていた。
奏は、傷付きながらも笑った。
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彼岸花(プロフ) - 和さん» ありがとうございます！結構中也さんて書きやすくて多めにしちゃうんですよ。是非、楽しんで読んで下さいね! (2017年3月25日 13時) (
レス) id: 81cc73b64b (このIDを非表示/違反報告)
和 - 前作も読ませていただいてました！中也のもどかしさがなんともカッコいい！！双黒万歳！！更新楽しみにしてます！ (2017年3月25日 12時) (レス) id: 70dae8966d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彼岸花 | 作成日時：2017年3月24日 17時
