愛 27 ページ27
「着替えないで良いのですか？」
「あ！着替える！」
パタパタと着替えを探して彼女が箪笥を開ける。
あろう事か彼女はそのまま脱ぎだした。
「きみ！俺達が居るだろ！///」
「主殿、振り向かないで下さい！///」
くるりと俺達は後ろを向く。
「あ、ごめんね」
布ぎれの音が微かに響きそちらの方が心臓が速く鳴る。
段々と顔が熱くなる。
「見てみて！現世の制服だよ！」
ぴらリとした短いスカートにリボンのついた服。
これが学校に通っている筈の彼女。
こんな姿をいつも人は見ているのか。
くるりと一周彼女が回ってみせる。
「主、首元の…」
「きみ、少し寒いだろうから俺の上着を着ると良い」
彼女の肩に俺の上着を羽織らせれば俺の花嫁のようだ。
「ありがと」
「鶴丸殿、何をされたのですかな？」
ギロリと一期一振はこちらを睨んだ。
「主が覚えてないからなぁ」
「え？大事な事忘れてる？」
俺と一期一振の顔を交互に見ながら困っていた。
「何でもないですよ」
「じゃあ、皆に元気になったの言ってくるね」
ニコニコと彼女は広間の方へと歩いて行った。
「鶴丸殿、何をなさったのですかな？」
「何もしてないさ」
何も出来てないからな。
あの唇を奪う事だって出来ていない。
「…鶴丸殿と主は恋仲なのですか？」
恋仲、恋仲ならどんなに良いだろう。
彼女はきっと俺達の事をそんな風には見てくれない。
「違うな、主にとったら皆家族だ」
彼女の一等であっても平等だ。
いくら頑張っても俺達は彼女にとって平等なのだ。
「家族…ですか」
「そうだ」
「鶴丸〜、行くよー！」
熱が下がったからか妙に元気になった主が遠くから手招きをする。
「きみ、待ってくれよ」
現世に行くのが楽しみなのか？
それともから元気か。
「一期、お土産何が良い？」
不意に彼女が聞いた質問に一期一振は首を傾げた。
「私の分は良いので弟達の分をお願いします」
「君は？」
二度目の質問に一期一振は考え込んだ。
「分かった。考えて買ってくるね」
グイッと手を引かれて本丸を出る。
「審神者様、こちらに」
こんのすけが案内する方へと行けば目隠しをされた。
「政府の場所がわかっては困りますので」
なるほど、相手は神だからなぁ。
数分後に目を開ければ知らない建物が目の前にあった。
「此処が…初めて来たわ」
よくよく見れば審神者と思われる年齢もバラバラな男女が沢山いる。
そしてその傍らには刀剣男士が。
「鶴丸、行こっか」
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作者名：彼岸花 | 作成日時：2019年4月21日 15時
