愛 20 ページ20
「うん、鶴丸って身長高いんだね」
「こらこら、きみは他の奴で試そうとするな」
一期で試そうとすれば鶴丸から止められてしまう。
何で試そうとしたなんてわかるんだろう？
「主殿、明日は近侍宜しくお願いします」
「うん、宜しくね」
と言ってもやっぱりする事はないんだよね。
「鶴丸、何を頼めば良いと思う？」
コソッと小声で問えばキョトンっと鶴丸はこちらを見た。
「それはきみが手伝って欲しい事だろう」
「何もないから困ってるの」
あったら手伝って貰う。
端末の機械なんて私だけが操作出来るし、書類も自分で書かなくてはいけない。
「あ、一日の出陣記録と後は資材の在庫確認！」
「そうか。きみ、明日からちゃんと助けて貰うんだぞ」
「うん」
鶴丸って世話焼き何だな。
「よし、部屋に帰るか」
「ん？ちょっと、鶴丸…？」
何か持ち上げようとしてないか？
私と視線が合った彼はニヤッと笑った。
「運んでやろうじゃないか！」
「やっぱり！きゃぁぁあ！」
また先程のように走り出してしまった。
まぁ、鶴丸が楽しそうだから良いか。
「きみ、一期一振の後は誰が近侍何だ？」
不意にゆっくりと歩きだしそう鶴丸が切り出した。
「まだ決まってないよ」
現世に連れて行くのは迷っている。
清光は昨日近侍をしてたし、変に思われるだろうから。
「俺じゃ駄目かい？」
とても助かる誘いにまだ頷けなかった。
「でもね、現世に行かないといけなくて…。だから鶴丸が良いならお願い出来る？」
「嗚呼、きみといると驚きがいっぱいだからな」
私の方が驚いてると思うけどな。
「私は飽きなくて楽しいよ」
「そうかい？」
「うん」
鶴丸と居るのは楽しい。
居心地が良過ぎて困る程だ。
「俺もきみと居るのは楽しい」
「ふふっ、良かった」
ーーー
まずい、本当にまずい事になった。
熱い身体と良く回らない頭でぐるぐると思考する。
取り敢えずもう顔を見られたら流石にバレてしまう。
顔が赤く熱がある事は一目瞭然だ。
「今日だけ…」
一昨日までつけていた布をつけて私はそっと部屋を出る。
「主殿？」
「一期、今日の仕事はこの紙にまとめてあるからお願いね。あと、朝食は燭台切にいらないと言って置いてくれる？」
悟られないように口早に言い部屋へと私は戻る。
「主殿！朝食は摂られた方が良いですよ」
「大丈夫、ちょっと仕事が忙しいだけなの」
扉越しに聞こえる声に返事をしつつ熱冷ましの為の氷枕を用意した。
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作者名：彼岸花 | 作成日時：2019年4月21日 15時
