愛 1 ページ1
審神者side
「主！」
そう呼んで清光はこちらへと来る。
その後ろからは薬研藤四郎、及び薬研も歩いて来た。
「何？」
「刀装金だよ！」
ぱぁっと明るい笑顔で清光が見せてくる。
「ありがと」
顔は隠しているが二人共私が笑ったのが分かったのか表情を和ませた。
「大将俺も金だぜ！」
「薬研もありがと」
ポンポンと二人の頭を撫でる。
一応私はまだ16歳だ。
それよりも幼さの残る表情で彼らは笑う。
人間の器を得てまだ日が浅いからなのか、彼らが無垢なのか。
と、考えていればこソリと忍び足で汚れた服のまま廊下にいるものが居た。
「あ、鶴丸。貴方、また畑に行ったでしょ！」
廊下を通りかかった鶴丸国永はゲッとこちらを振り返った。
「きみ、俺は行ってないぞ」
ダラダラと汗をかきながら鶴丸が否定する。
全く、初めてのレア刀は余りにも天真爛漫過ぎる。
「服に泥がついてるでしょ」
「良く見破ったな主！」
悪びれもせずにハッハッハと笑っている。
「光忠におやつぬいて貰って薬研にあげようかな」
「大将、良いのか」
ニヤニヤと薬研が鶴丸を観る。
「勘弁してくれ！おやつだけはー！」
「もう、ちゃんと洗わなきゃね」
せっかく白くて綺麗なのに勿体無い。
「どうしたんですか？」
落ち着いた声と共に太郎太刀が歩いて来る。
「太郎さん、何でもないよ。あ、近侍明日お願いしますね」
私の本丸では近侍は交代制であり、毎日代わる。
近侍に仕事は手伝って貰うが殆ど自分一人でやるから余り意味はない。
「分かりました」
大きい体躯だというのに彼は颯爽と食堂の方へと消えていった。
その髪が日本人を思い出させて懐かしい。
彼が一番あの黒黒とした夜空などを思い出させる。
着物だからだろうか？
「主？」
鶴丸が私の肩を揺さぶった。
「あ、ごめん」
「太郎太刀に見惚れてたのか？」
妙に真剣な表情で問われた。
「え？あ、違うよ」
何でか分からないけれど、ふと現世を思い出してしまうのだ。
「そうかい？きみはいつも太郎太刀とは楽しそうだからなぁ」
鶴丸がムッとした表情で言う。
「そうかな？」
全員平等に接していると思っていたんだけどな。
「鶴や、嫉妬はいかんぞ」
ニコニコと三日月宗近がいつの間に居たのか言った。
そろそろ昼食の時間だから探しに来てくれたのか。
「三日月、嫉妬じゃなく純粋な疑問だ！」
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作者名：彼岸花 | 作成日時：2019年4月21日 15時
