彼 65 ページ15
百合side
パタリと扉を閉めると後ろから低い声が聞こえた。
誰かなんて決まっている、私の留守中に人の部屋へとズカズカと入り込む人間なんてそうそういない。
後ろを向けば彼は苛立ちを隠そうともせずベットの上に座っていた。
「おい、こんな遅くまで何処に行っていた？」
何故人の部屋に無断で入り偉そうなんだと心の中で文句をつける。
だが、お構いなしに彼は事を進めた。
「何処か知らないところ」
「ホー…新しい男でも捕まえにか？ポアロの定員が君と男を見たと言ったぞ俺には構わない癖にな」
「ッ!」
言い返せはしないが男を捕まえに行った訳ではない。
怪盗キッドといただけの事だ。
その後声はかけられたが少ししかついて行ってない。
「ノコノコと男について行ったのか」
何で此処まで怒っているかは分からないがついて行った事には変わりなく何も言えなかった。
「肯定だととるぞ？」
「別に好きでついて行った訳じゃないもん」
「ふん、どうだかな」
鼻で笑う彼の瞳は怒りに燃えている。
「私が何処で何をしようと関係ないでしょう？」
「君の恋人は俺だ。君を離すつもりもない」
本当に強引な人だな、だがこちらも引けないのだ。
「恋人でも関係ないですよ」
「…なぁ、触れられたのか？」
グッと手を引かれてベットへと降ろされる。
「え？…」
「どうなんだ？」
話している間にも彼の手は私の身体を滑った。
「別に良いでしょ!もう、早く部屋に行かせてよ!」
私はまだ仕事が残っているんだ、こんな喧嘩してる場合じゃない。
公安でありながら2週間も休んでいたのだから。
「良くない、お前は俺のものだ」
「私は貴方の所有物じゃないの！」
誰かの言葉が重なった気がした。
遠い昔、言った言葉がまた繰り返されている気がした。
「所有物？そうだな、お前には首輪が必要かも知れないな、安室君に貰ったネックレスよりもな」
彼の指が私の首に掛かっているネックレスを手でもて遊ぶ。
「安室さんは兄みたいな存在だからそんなに突っかからないで、私をペットだとでも思ってるの？」
「それは君が安室君ばかり構っていて俺をここ2週間程避けているからだろう？第一君がペットなら外へも出さないさ安室君にもみせてやらん」
「それは赤井さんがキスしようとするから…ペットになんてならないよ」
「何故恋人にキスをしたらいけない？安室君にはさせたじゃないか！それどころか一緒の布団で寝たとも聞いたぞ！」
叫ばれビクリと肩が揺れる。
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作者名：彼岸花 | 作成日時：2018年10月3日 19時
