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結ばれない恋を 太宰治 続き ページ37

太宰side
何故首領と抱き合っていたんだい?

楽しそうな私には見せない笑顔で何を話していたの?

もう首領と想いあっているのかい?

「太宰…」

「へぇー、もう両想い、かい?」

自身の胸の内は嫉妬と激怒が渦巻いていた。

其れを隠して言ってみる。

お願いだから嘘だって言ってくれないかい?

「そうだが何かな?太宰君」

首領が平然と答えた。

奏は私から視線を逸らすだけ。

「…奏は首領の事が好きなの?」

「…」

此処まで来て沈黙する奏。

すると、首領が奏を引き寄せた。

「え?」

チュッ…

短いリップ音が聞こえて、目の前が真っ黒に染まった。

「此れで良いかね?」

「ッ‼」

首領を殺さんばかりに睨み付ける。

奏の手を引き部屋から出させた。

触れられたくないんだ。

「太宰ッ!痛いッ!」

後から奏の叫び声が聞こえて我に返った。

「すまない」

握っていた所が赤くなっていた。

「大丈夫よ。其れより、手を離して…」

あぁ、私だけは拒むのだね。

「君の兄を殺した事を恨んでるの?」

ぴくりと反応した。

彼は組織の裏切り者なのだけどね。

「…そうだと言ったら?」

悲しげな表情で私と目線を合わせた。

「なら、心中しよう?」

永遠に私の物になって?

「嫌…」

静かでもハッキリとした口調で言われた。

「私が殺してあげる」

隠し持っていたナイフを取り出す。

首領とキスしてる所何て見たく無かったよ。

「ッ‼やめ、て…」

怯えた表情で奏が後退った。

「心中しよう?ね?」

「太宰?落ち着いてよ!」

必死に私の力に抗おうとしている。

「君は本当に首領が好きなの?」

そう問うと、ポロポロと涙を零した。

「ッ…」

何故泣くの?首領を頼っているの?

チュッ…

「此れで首領とのキスは忘れてね?」

「何するの…」

顔を歪めて奏が私を見上げた。

「最後に一つだけ教えてくれないかい?」

「最後ね…私は太宰が好きだよ」

何を言ってるんだい?

「え?」

「森さんにヤキモチ焼かなくても私が見てるのは太宰しか居ないのにね」

苦笑しながら次々と出て来る言葉達。

「復讐何て出来なくなった…何時からか太宰しか見て無かったから…」

涙に濡れる頬に触れた。

「なら!」

「ごめん、愛してる」

微笑んだ奏が胸にナイフを突き立てた。

「何してるんだいッ⁉」

「夢で見るのはもう嫌なの…」

血溜まりが私の服を濡らしていく。

「奏‼」

「愛してるから」

結ばれない恋を 太宰治 終わり→←結ばれない恋を 太宰治 続き



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彼岸花(プロフ) - 桜唄さん» ありがと (2017年3月20日 17時) (レス) id: 81cc73b64b (このIDを非表示/違反報告)
桜唄(プロフ) - 彼岸花さん» はい。 (2017年3月15日 23時) (レス) id: 920de4e9ca (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - 桜唄さん» え、本当ですか!? (2017年3月15日 23時) (レス) id: 96fec89993 (このIDを非表示/違反報告)
桜唄(プロフ) - 彼岸花さん» 済みません、もうはずせてようですよ? (2017年3月15日 22時) (レス) id: 920de4e9ca (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - 桜唄さん» やってみます! (2017年3月15日 22時) (レス) id: 96fec89993 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:彼岸花 | 作成日時:2017年2月20日 18時

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