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俺のだ 中原中也 終わり ページ25

「奏ッ!!」

目を弱々しく開いた奏が俺を見上げた。

「ごめ…ん」

そう言って、俺の頬に触れるか触れないかの所でまた意識を失った。

何で、何でごめん何だよ!

どうしろって言うんだよ。

「奏!奏!」

何度呼び掛けても、目を覚ましてくれない。

手の感覚が無くなり視界がボヤける。

嫌だ、失いたくない。

コイツだけは失いたくない。

好きなんだ。

お願いだから、目を覚ましてくれよ。

また、笑い掛けてくれよ。

何で動かないんだよ。

愛してるってまだ言い足りねぇよ。

手前からも聞いてねぇだろうが。

また言ってくれよ。

何度呼び掛けても、声は返って来ない。

「中原君!!」

首領がいつ来たのか俺を奏から遠ざけ様とした。

「離して下さい!」

さっき俺の名前を呼んだんだ。

離れたら、またコイツが消えるかも知れない。

「中原君、此処は病室だ!」

首領に一喝されても、俺は諦められない。

「さっき目を覚ましたんです!」

「其れなら医者を呼ぶべきだ!」

首領の言っている事は、あっている。

「ですが!俺の名前を呼んだんです。でも直ぐに眠ってしまって」

「私が見よう。待っていなさい」

スッと首領が奏に近づき診察した。

俺は奏の小さく冷たい手を握り締めた。

「昏睡状態だね」

その言葉にまた奈落の底に落とされた。

首領が去っても、只ひたすらに奏の手を握り締めていた。

もうコイツの体温を感じれねぇのか?

綺麗な唇は笑みを描く事はねぇのか?

そんなの嫌に決まってる。

「起きろよ。バカヤローが」

涙が流れた。

手前のせいだ、俺が泣くなんて。

奏の柔らかい唇に自分の唇を合わせた。

「手前が眠り姫なら起きろよ」

髪をすき、奏にボヤく。

はぁ、視界が霞んで見ぇねぇじゃねぇかよ。

「眠り姫…なの?」

フワリと微笑んだ奏が、俺の頬に手を添えた。

体が痺れ、安堵が胸に広がり、直ぐに抱き寄せる。

「手前ごめんじゃねぇだろ。愛してるって言えよ」

また自らの唇を優しく合わせた。

「ん…、ぞだね。中也、愛してるよ」

「心配かけさせんじゃねぇよ」

しっかりと抱き締めて、奏に言い聞かせる。

「泣かないでよ」

「手前のせいだ。責任取りやがれ」

きゅっと奏の指に指輪をはめる。

「普通に言ってよ」

「俺と結婚しろ。絶対に手前を離さねぇ。YESしか言わせねぇよ」

「ふふっ、喜んで。愛してるよ中也」

優しく唇を合わせた。

大嫌い何て言わせません 坂口安吾→←俺のだ 中原中也 続き



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彼岸花(プロフ) - 桜唄さん» ありがと (2017年3月20日 17時) (レス) id: 81cc73b64b (このIDを非表示/違反報告)
桜唄(プロフ) - 彼岸花さん» はい。 (2017年3月15日 23時) (レス) id: 920de4e9ca (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - 桜唄さん» え、本当ですか!? (2017年3月15日 23時) (レス) id: 96fec89993 (このIDを非表示/違反報告)
桜唄(プロフ) - 彼岸花さん» 済みません、もうはずせてようですよ? (2017年3月15日 22時) (レス) id: 920de4e9ca (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - 桜唄さん» やってみます! (2017年3月15日 22時) (レス) id: 96fec89993 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:彼岸花 | 作成日時:2017年2月20日 18時

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