其の12 『___________』 ページ13
◆◇◆◇◆
太「久しぶりだねえ、A君。元気そうでなによりだけど、私の上に着地はしないでくれ給え」
『やァ、久しぶり太宰。そうは云っても数日前には遭ってるだろう』
にっこりと太宰に笑う。
太宰は大袈裟に溜息をつく。
太「私は君に踏まれるために居るのでは無いよ、全く」
『あっそ』
兄ちゃんと姉ちゃんに向き直る。
『お疲れ様、二人共。今回は此処までにして帰ろうか。
嗚呼、それと』
太宰をじっとり睨める。
『幾ら姉ちゃんが美人とは云え、盗み聞きは駄目だなあ』
ふふふ、と笑い、太宰はポケットから小さな機械を取り出す。
盗聴器だ。
太「済まないね、美人さんの行動が気になっちゃう質でね」
樋「では、最初から__」
あ、姉ちゃん落ち込んじまった。
『そーら二人共ー!帰ろうってば』
芥「そうだな。太宰さん、今回は退きましょう……
然し、人虎の首は僕らマフィアが頂く」
太「なんで?」
『簡単な噺さ。彼には70億の懸賞金が懸かっているからね。裏社会を牛耳って余りある、素晴しい額だ』
壁に寄りかかって、答える。
『善い噺だろ?』
太「景気がいいねえ!」
脳天気な面で奴は応える。
芥「孰れまた、探偵社には伺います。其の時大人しく70億を渡すなら善し。渡さぬなら……」
ぽん、と太宰は手を叩く。
太「戦争かい? 探偵社と? 良いねぇ、元気で」
太宰は不敵に笑う。
太「やってみ給えよ、やれるものなら」
俺はじとりと太宰を見るが、何も云わなかった。
樋「零細探偵社ごときが!」
『はいはい、姉ちゃん落ち着いて? 其奴はね、知ってるよその位』
芥「然り。外の誰よりもそれを悉知している。
……元マフィアの太宰さん」
兄ちゃんと太宰の目線が交差する。
其れは、嘗ての__嗚呼、否。
彼等のみが知っていれば善い。
『にーちゃーん、もう帰ろうって。俺飽きたから』
芥「貴様は何時も勝手だな……」
そう云いつつも踵を帰す。
『じゃ、またな』
あ、そうだ。
芥「……おい、A?」
『先行っててくれ、忘れ物を、ね』
そう云い、今の道を引返す。
太「なんだい?」
『耳貸せ』
有無を云わせず、太宰の首を掴む。
太「ちょっと、君乱暴だよ!?」
『善いか、聞けよ』
『____________』
首から手を放す。
太「君……」
目を見開き、俺を見る。
『本当だ』
芥「おい、そろそろ行くぞ」
『直ぐ行くぜー』
置いてかれんのは御免だな!
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衣紋(プロフ) - 有栖さん» お読みいただきありがとうございます!!後々にわかりますので楽しみにしていてください! (2018年4月6日 19時) (レス) id: d3938a972f (このIDを非表示/違反報告)
有栖(プロフ) - 過去に何があったのかが、気になります (2018年4月4日 17時) (レス) id: e7a3c43521 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:衣紋 | 作成日時:2018年2月1日 21時