十二色の薔薇を君に 【ヒプノシスマイク】

愛という名の　【神宮寺寂雷】 ページ16

('-' 鮪)з様のリクエストです！ありがとうございます！

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ドアを開くと、独特の麻酔の香りが、私の鼻を擽る。

白い壁。
白い床。
白いベッド。


そして、

白の空間に包まれた、白い服を身にまとい、白い機材につながれた彼女。

「あ、寂雷先生。」

横になったまま顔をこちらに向け、弱々しく微笑む彼女。

あぁ…、なんと可愛らしいんだろうか。

たださえ綺麗な彼女の肌が、さらに青白く透き通るようになっていくのを見ているのは本当に快感である。

「Aちゃん、気分はどうだい？少しは、”彼”のことも、忘れられたかい？」
「…少しだけ、ですけど。だいぶ楽になりました。」
「そうか…。やはり退院は無理だね。もっともっと、長い期間休んだ方がいい。」

そういうと、嬉しそうにほほ笑む彼女。

あの男。

彼女の事を振ったという彼。



私の愛する彼女を、傷つけた張本人。




彼女の横に、持ってきていた花束を置く。

「これは私からのプレゼント。後で、花瓶を取ってくるね。」
「うわぁ、とってもきれい。寂雷先生の髪の色ですね。あ、二本入ってる。」

そういって薔薇をなでる彼女。
あぁ、何て愛おしいのだろう。

彼女がほしい。

笑っている彼女が。
怒っている彼女が。
泣いている彼女が。

欲しい。

貴方の美しさを知っている人など、


私だけでいい。

「それじゃあ、またあとで戻ってくるから。ゆっくり、ここで休んでいてね。」


そういって外に出て、カチャリ。カギを閉める。
この病室こそが、私と彼女の、愛の場所。


絶対に誰にも、邪魔はさせない。





「フフフ、先生、”彼”に振られた、なんて嘘信じちゃって。

…そうだ。この薔薇、今度は私がちゃんと紅色ので返事をしてあげなくちゃ。」



一人残された彼女は、薔薇に触れ、その手を徐々に、腕へと上げ、点滴に触れる。


「この点滴も、

服も、

ベッドも。


ぜーんぶ、貴方が用意したもの。


アハッ、アハハッ！

ずっとずっと！！

貴方に包まれていられるなんて、どんなに幸せなんでしょう！！



アハハハハハッ！！！」


彼女の狂気に満ちた笑い声だけがその場に響く。




「そういえば、名前を借りた”彼”。あれから返事ないなぁ。」





歪んだ愛という名の麻酔で




2人はまた、酔いしれていくーー。









【淡い紫色の薔薇花言葉】…「気まぐれな美しさ」
【二本の薔薇】…「この世界は二人だけ」
【紅色の薔薇】…「死ぬほど恋焦がれています」

告白 【山田二郎】→←愛シテル 【飴村乱数】

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