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「A、起きてるか？」
「…はい、今起きました」
かけられた声に意識が浮上する。
寝ている姿勢を、ゆっくりと動かす。
ジンと痛む目元に、先ほどまでのことを思い出した。
教室から逃げるように出た私は、保健室に向かった。
リカバリーガールは出張であったようなので、とりあえずベットを借りたのだ。
そしてズキズキとした心臓の痛みに耐えながらも、いつしか眠ってしまったらしい。
起き上がった私の手には、淡い桃色のハンカチが握りしめられていた。
…百ちゃん、心配してるだろうな。
あの子はとても心優しい子だ。
私が泣いていれば、彼女も泣きそうな表情を浮かべてこちらを心配そうに見てくれた。
そんな子に迷惑をかけてしまったとため息を吐けば、先にかかった声が再び聞こえてくる。
「…何か悩みでもあるのか」
「…『西園寺 姫子』のことを、思い出していました」
彼らしくもない、伺うような声音に笑う。
カーテンがかかっているので、見えるのは相澤先生のシルエットだけだ。
「泣くほど、大事か」
呆れたような声に、しばし考える。
そうしてから無意識に溢れたのは、苦笑と明確な否定だった。
「違います。そんな…柔い感情なんかじゃないんですコレは」
またぶり返す心臓の痛み。
それをなだめるように、左胸を抑えた。
「私がアイツに抱く感情は…罪悪感と恐怖が、一番近いんじゃないでしょうか」
「…お前にも怖いものがあるなんてな」
「そんなもの数えきれないほどありますよ」
茶化すような彼の声にそう答えて、掛け布団を剥いだ。
足を下ろしてカーテンを開けた時、目を暖かい何かが覆う。
「蒸しタオルだ。その目をどうにかしてから教室に行け」
「…授業、終わってますよね？」
先ほどの授業は6限で、短い間とはいえ眠ってしまったし、何より授業を担当していた相澤先生がいるのだ。
すでにSHRは終わっているだろうし、帰ってもいいはず。
「心配している八百万たちに顔を見せずに帰るつもりか？」
「……少ししたら行きます」
「ああ。そうしてやれ」
目の前は温いタオルで真っ暗だが、ふっと笑みを浮かべているのだろうと気配を感じる。
じゃあな、と告げられ返事をする。
…が、一向に気配が遠ざかる様子はない。
「あまり、無理をするな」
ぽん、と頭に振動が走った。
そして先生の気配は消える。
「…カッコいいなぁ、相澤先生」
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ヒヨコ(プロフ) - こんにちは、とても大好きです。← ただ１つだけ。84の戦闘シーン、exchangeではなくreplaceの場所がないでしょうか？replaceが置き換えだと認識してるので、ちょっと違うかも？となりました！更新楽しみにしてます！ (2018年10月1日 15時) (
レス) id: 1a5754497d (このIDを非表示/違反報告)
あっぷる。 - No,2ヒーローがベストジーニストになってませんか？気のせいならすみません。 (2018年9月17日 16時) (レス) id: b076da837c (このIDを非表示/違反報告)
碧 - うわあああ好きです！！夢主ちゃん頑張れー！ (2018年9月9日 11時) (レス) id: 1914631717 (このIDを非表示/違反報告)
たまごぼーろ。(プロフ) - いけいけ夢主ちゃん！姫をぶん殴れ！！ (2018年9月7日 10時) (レス) id: acb2629ba7 (このIDを非表示/違反報告)
あっぷる。 - いけいけかっちゃん！夢主をおとせ！← (2018年8月23日 22時) (レス) id: b076da837c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：甘夏蜜柑
| 作成日時：2018年7月11日 21時
