【MHA】きっとこの世にロクな神様は居ない。

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「まずは出入り口の奪還だ…行け、脳無」


…ノーモーションかよ…！


交換する暇もなく吹っ飛んだのは、オールマイト。

爆豪くんは無事だった。


「…見えない」


やばい、どうすることも出来ない。


撃退の姿勢を見せている緑谷くん達。

この差を見て、何も思わないのだろうか。


「相澤先生、」

「…飛ばせ、この位置じゃ…俺も含めて邪魔になる」

「りょうか、」


了解です、と答える前に相澤先生を含めた5人を飛ばす。


…狙いは、…ッチ、私か！


フッとかかる影に血の気が引く。

一瞬で景色が変わり、目の前には、脳無、が、


「A少女…ッ！！」


身体が上下左右に揺さぶられ、何度も激突する。

息を吸うことも吐くことも出来ず、止まった。


「ッガ、げほ、…おぇ、」

「ダメじゃないか脳無。優しく、って言っただろ？」


ガンガンとなる頭に、クラクラする視界。

意識が飛びそうになるが、それを必死に繫ぎ止める。


「ソイツの力が邪魔なだけで、ソイツ自体は後々必要なんだ。壊すなよ？」

「…ぁ、っぐ、」


込み上げてくるものすべてを吐きだせば、目の前が赤く染まる。

ひゅうひゅうと空気の抜ける音を感じながら、腕を地面についた。


「Aさん、無茶だ…っ」

「へぇ、まだ起き上がろうとするのか…ああ、まさか『西園寺 姫子』のこと？」

「…ッ！」

「図星かよ。何だかんだいって、大事なんだろ？」


身体が勝手に反応する。

頭を起こして、ラスボスくんを見ればすぐに赤に覆われた。


「そんなに睨むなよ、怖いなぁ。今頃アイツも泣いてんじゃないのかぁ？」

「…だ、から…アイツは、」

「『Aちゃん、助けて』ってなぁ…！」

「…る、さぃ…ッ！」


ぐぐぐ…と体を持ち上げる。

目を拭い、血を吐き出し、息をする。


…大丈夫、まだ生きてる。


「A少女！」


低い声が、私の全身を撫ぜた。

ぶわりと膨らむ安堵の気持ちを、一生懸命抑え込む。


「守りきれなくてすまなかった、だが！今は…今は、私に任せてくれないだろうか」


そう言って、脳無に殴りかかったオールマイト。

かなり離れたここにまで、風圧が押し寄せる。


連続する風圧は徐々に圧を増し、私達の身体を押す。

起き上がることに力を使い、自分の身体を地面に縫い付けるようにちからをいれようとした。

しかし、


でき、ない…！

…や、ば…飛ばされ…！

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