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「…噂になっていないだろうか」
気怠さを体に覚えつつ、頭を抱えた。
結局横抱きのままリカバリーガールの元へと運び込まれた。
彼女はパッパと直し、飴を一粒私と轟くんに渡して校長先生に呼ばれたからと出て行った。
「そんなもん気にしなきゃいいだろ?」
何が問題かわからないとばかりに訝しげな表情をする彼。
人の目線に疎いタイプか…それともそれを理解した上で気にしないタイプか。
…うん、確実に後者だな。
「ま、取り敢えず。支えてもらったばかりか運んでくれてありがとう」
「…ああ」
「助かったよ。リカバリーガールが言ってたように少し休んでから行くから、轟くんは先に戻って」
ひらひらっと手を振って轟くんを見送る。
午後は委員会及び係決めだけだから行かなくても勉強に支障はない。
それにしても、怪我を持ち越さずに直してもらってよかった。
…確か、明後日のヒーロー基礎学はまた実技みたいだし。
「ま、色々考えたいこともあったし、丁度いい時にサボれたもんだ」
ベットに入り込みながら、くるりくるりと思考を回し始める。
まずは、『アイツ』の事。
ヒーロー科のA組から始まり、普通科、サポート科、経営科、計11クラス。
そして、無いとは思ったが教師陣にまで幅広く探りを入れた結果、アイツの影は無かった。
いや、完全に無いのかと問われると自信はない。
アイツの造形が完璧に変わり、性格まで偽っているとしたら…私は気づけない。
だけど、アイツの性格からしてそれはあり得ない。
つまり、雄英高校にアイツは居ない。
そしてもう一つ考えたいのが、オールマイトの事だ。
焦り、と言うのだろうか。
あの人のそんな感情が最近手に取るようにわかる。
少し気になって調べた過去のオールマイトの活躍。
今のものと比べても力に大きな差はない。
ただ、過去には見られなかったものがある。
ほんの数秒の戸惑い、苦しみ…そして、不安。
「気づいてるのは、私だけじゃなさそうだけど」
「失礼します、リカバリーガール…って、キミは…!」
唐突にドアが開き、慌てて入ってきた男の人。
身長がとても大きく、頰はコケ、彫りが深いせいで目に影が掛かっている。
彼は、とても見覚えのあるスーツを着ていた。
…先日のオールマイト先生と同じ。
ネクタイも…確かこんなのだったな。
さすが漫画、これは同一人物と考えて良さそう。
「…リカバリーガールなら、今はいませんよ」
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びだくおん - 25のところ相澤先生のセリフ『礼』が『例』になっていると思いますよ〜 (2018年9月26日 20時) (レス) id: 928f36eedf (このIDを非表示/違反報告)
裕貴雛@きょーたん(プロフ) - 突然すみません。こいつ何言ってんだと思うかもしれませんが書きます。replaceという単語が書き換えるという意味でで出てきてるのですがreplaceの方が一般的に置き換えるの意味の方が強いです。また、exchangeは商品やお金に対して使うのでchangeをオススメします。 (2018年7月11日 4時) (レス) id: 630a80e8a5 (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - すっごく面白いです!!!!これから少しずつわかってくるであろう真実にドキドキします!誰落ちかも楽しみです〜!更新楽しみにしてます! (2018年6月28日 22時) (レス) id: be8945b53e (このIDを非表示/違反報告)
ユニ(プロフ) - 紹介文の漢字が英雄になっています!間違ってたらすみません。 (2018年6月24日 18時) (レス) id: dff716be10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:甘夏蜜柑 | 作成日時:2018年6月21日 2時