どこかの世界線で、何かが始まる前の話。�� ページ11
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パタリと、三人が来なくなった。
ザワザワと、心臓が落ち着かない感じがする。
こういう時、連絡を交換していなかった事が悔やまれる。
しかも、忙しくあってほしい時ほど店は混まないもので。
私はカウンターに座って、緋色さんが使っていたお猪口をもてあそんでいた。
「、あっ」
カシャ、と音を立てて手の平から滑り落ちたお猪口。
かなりの高さから落とされたそれは、粉々にひび割れてしまった。
嫌な予感が増長する。
ああ、ダメだ。
心が本能的に、そう叫んでいた。
上着を着ることもなく、店を飛び出した。
数分でついたビルには、何も異変はない。
それでも私は、確信していた。
今日があの日で、今この時、諸星さんと緋色さんが…ライとスコッチが対面していると。
革靴を脱ぎ捨てて、ストッキングのまま階段をなるべく音を立てないように駆け上がった。
まだ銃声は聞こえていない、とそう自分に言い聞かせる。
錆びた扉の前に、立ち尽くす。
聞こえてきた声が、まだスコッチが生きていることを私に伝える。
「…ソレから手を離して、二人とも」
静かに扉のドアを開いて、そう言った。
ライとスコッチの表情が、驚愕に染まるのが見えた。
「な、Aちゃん…なんで、」
「それから今すぐに手を離して。私に『また』同じ思いをさせる気？」
「お前まさか、」
ゆっくりと近づく私に、ライが訝しげな顔をする。
それも構わずに、私は彼らの元へ近づいた。
「ねえ、ライ。スコッチは死ぬにはあまりにも惜しい人だと貴方は知っているでしょう」
「A、お前は本当にどこまで…っ」
「ねぇ、スコッチ。私は話したよね。仲間の目の前で、銃で心臓を撃ち抜いた男の話」
「…は、それは、過去の話じゃ、」
二つの手が重なる銃に、私は手を伸ばした。
それを、無理矢理私に向ける。
二人の瞳が、見開かれた。
「殺すなら私を殺してから死んでくれないかな」
「なぜ、」
「…二度も、あんな目にあうのはごめんだよ全く。君達は本当に私の話を聞かないんだから…もちろんバーボンもね」
私は、決して震えてはいなかった。
迷いはない、私が死んだあとなら私はもう手を出せないのだから。
私が生きてる時にそういうことをするから、私が苦しむ羽目になるんだ。
だから精々、私が死んだ後で後悔も、懺悔も好きなだけするがいいよ。
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さち - おもしろいです。続きが早く読みたいです。よろしくお願いします。 (2019年5月22日 0時) (
レス) id: 43b8d3401a (このIDを非表示/違反報告)
Blanche*(プロフ) - 思わず泣いてしまった....... 続きが気になります!! 無理のない範囲で頑張って下さい!!!!!! 応援しております!!!!!! (2019年5月21日 22時) (レス) id: 5327bf9003 (このIDを非表示/違反報告)
ナシ(プロフ) - コメント失礼します！おもしろいし、感動して何度も泣いてしまいました。続き気になります！更新頑張ってください！！ (2019年5月21日 18時) (レス) id: 9c83a487c9 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - めっちゃ面白いです！！ほんとに！！更新楽しみにしてます！ (2019年4月4日 14時) (レス) id: cb719f86c6 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 大好きで何回も何回も読み直してます！！更新待ってます！！ (2018年9月27日 7時) (レス) id: cb719f86c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：甘夏蜜柑
| 作成日時：2018年3月24日 0時
