どこかの世界線で、何かが始まる前の話。�� ページ12
．
「今から一つ、引き金が引かれるんだよ」
私の言葉に、目の前の彼らは眉を寄せる。
それでいい、何もわからないままで。
今日で全てが、終わるから。
「ここに足りないのは誰だろう？」
「…バーボンか」
苦々しく答えたのは、ライだった。
私は、笑みさえも浮かべながら頷いた。
「スコッチは、ここにくる前にバーボンに電話をしたね。ライにバレたから始末されるだろうと。
バーボンはとても仲間思いだ。そんな彼が、スコッチを救おうと動かないわけがないね。
じゃあ必然的に、ここをきっと探り当てて急いでくるよ…なりふり構わず全力で」
そう私が言った瞬間、鈍い金属音が聞こえてくる。
それは徐々に、徐々に大きくなって鳴り響いた。
「この音が響いた瞬間、さっきまでの状況だったらスコッチはどうしてたかな。
ライは決して、手の力を抜くことはなかったかな？」
バン、と音を立てて扉が開いた。
そこには、必死の形相をしたバーボンが立っていた。
ザッと音を立てるほどに顔を青ざめるライとスコッチ。
私は今度こそ、心からの笑みを浮かべる事ができた。
今までの人生全てが報われた瞬間だった。
「ああ良かった。スコッチの心臓はまだ、動いてるね。
これで、ライとバーボンの確執が生まれなくなった。
今後は仲良くするといいよ、さながら『あの時』ように…ここにはいない一人の少年を交えてね。
さぁ、お別れだ。
『スコッチ』『ライ』『バーボン』
『緋色 光』『諸星 大』『安室 透』
そして、まだ出会ってもいない、
『翠川 唯』『赤井 秀一』『降谷 零』
楽しかったよ、とても。
『あの頃』に戻れたようだった」
目の前の銃の引き金が引かれることはなさそうだと思った。
なので、腰のあたりから一丁のハンドガンを取り出した。
「これで証明されたよ、コナンくん。こんな私でも人ひとり、救う事ができた」
それを頭に当てて、セーフティを外す。
ガチリ、と音が伝わった。
ゴクリと唾を飲み込んだのは誰だろう。
「君ならきっと、よくやったねと言ってくれる…そう信じているよ。だから、もういいだろう。
私は、罪を背負って行けるほど強い人間じゃないからね。
願わくば、もう一度君達と一緒に遊びたかったものだ…なんてね」
私は目を伏せて、引き金に指をかける。
そして迷うことなくそれを引いた。
銃声が一つ、明け方の空に響いた。
この世界線で、全てが終わった後の話。�、�←どこかの世界線で、何かが始まる前の話。��
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 507人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さち - おもしろいです。続きが早く読みたいです。よろしくお願いします。 (2019年5月22日 0時) (
レス) id: 43b8d3401a (このIDを非表示/違反報告)
Blanche*(プロフ) - 思わず泣いてしまった....... 続きが気になります!! 無理のない範囲で頑張って下さい!!!!!! 応援しております!!!!!! (2019年5月21日 22時) (レス) id: 5327bf9003 (このIDを非表示/違反報告)
ナシ(プロフ) - コメント失礼します！おもしろいし、感動して何度も泣いてしまいました。続き気になります！更新頑張ってください！！ (2019年5月21日 18時) (レス) id: 9c83a487c9 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - めっちゃ面白いです！！ほんとに！！更新楽しみにしてます！ (2019年4月4日 14時) (レス) id: cb719f86c6 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 大好きで何回も何回も読み直してます！！更新待ってます！！ (2018年9月27日 7時) (レス) id: cb719f86c6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：甘夏蜜柑
| 作成日時：2018年3月24日 0時
