会長 283 ページ3
．
「…いるんでしょ、八雲くん」
古里くん率いるシモンファミリーが、崩壊しかけたような建物の中に消える
それを綱吉くんが追おうとするが完全に姿を消してしまった
6日間かけて進めと提示された道を行こうとした時、ふと気配を感じた
そして、覚えのあるそれに私は静かに口を開く
「…会長さん」
「予想通りだった。この6日間の闘いに私達は含まれてないんだろうね…私達は、異端だから」
相変わらず顔を覆う長い前髪の間からこちらを見る八雲くん
その視線には、古里くん達とは違い敵意を感じられなかった
「…あんなに、傷つけた…のに…来ちゃったんだ」
「ん、勿論だよ。キミを止めるのは私の役目だしね」
「か、会長…！大丈夫なんですか？」
綱吉くんの視線は私の方と足に向いている
確かに八雲くんに傷つけられ、ついさっきまで血液を垂れ流していた場所だ
心配そうな彼の表情に、クスリと笑って手を振った
「大丈夫。八雲くんも今は戦う気ないみたいだし」
「…シモンに、危害を…加えなければ…まあ、いい」
「ここでお別れだ、綱吉くん」
大きい琥珀色の瞳が見開かれた
あからさまな動揺に苦笑を零し、逆立った柔らかい髪を手で撫でる
「大丈夫、綱吉くんはちゃんと『誇り』を持ってるよ」
「えっ」
「その誇りは、きっと古里くんを助けてくれる。だから、自分を信じて」
今にも崩れ落ちそうな階段に向かって彼の背中を押す
その先には、私がわからないような想いや苦悩がたくさん詰まっているのだろう
でも、それは知り得ないことで、私は私のやる事がある
「そんなに気負わない！もし負けても復讐者の本拠地に行って叩けばいいだけ」
「…か、会長」
「…まあ極力やりたくは無いから全員無事に帰ってくること。生徒会長がいってるんだから、守らないとね？」
そう言って笑みを浮かべて見せれば、綱吉くんはやっと意志の強い瞳を見せてくれた
駆け出して行く勇ましいとは言い難いその背中を見送り、息を吐く
そして、改めて八雲くんと向き合った
「ねえ、八雲くん」
「…なに」
「これから、どうしようか？」
6日間なんて長い時間をずっと戦い続けるなんて無理に等しい
それに私は、戦う理由がなかった
彼が攻撃してこない限り、私が仕掛ける可能性は皆無
「…こっち…」
八雲くんが歩き出す
それを追いかけるように私は歩き出した
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 992人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「リボーン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
バイパー(プロフ) - 会長が会長がぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!これからも頑張ってください!! (2017年5月26日 21時) (
レス) id: 9e0fe0a3ea (このIDを非表示/違反報告)
林檎飴(プロフ) - あぁぁぁぁぁぁぁ会長ぉぉ！お客様！お客様の中にお医者様はいらっしゃいませんかぁぁぁ！？ (2017年4月23日 22時) (レス) id: 87903ff8ef (このIDを非表示/違反報告)
ゆにおん(プロフ) - 文才すごくありますね！！面白いです！頑張ってください (2017年4月17日 19時) (レス) id: 357fba11b9 (このIDを非表示/違反報告)
沢優@蝸牛更新だぜ★(プロフ) - やっぱり面白いです！なぜそんなに文才があるのか…俺も見習いたいですよ…!!更新頑張ってください！ (2017年3月26日 15時) (レス) id: 5a14bd1f6f (このIDを非表示/違反報告)
桐枝(プロフ) - とってもとっても面白いです！ (2017年2月11日 22時) (レス) id: a0cd7a23ee (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：甘夏蜜柑
| 作成日時：2016年12月15日 20時
