会長 212 ページ13
．
「…二人とも、飲み物を取りに行こう」
雲行きが怪しいと感じたのは、幻騎士の鎧の砕けた部分に藍色の炎が伝った時だった
咄嗟に私の背に立つ一般人二人を別室へ促す
訳がわからないと、きょとんとした表情は幻騎士の戸惑いの声に顔を引き締めた
…見せるな、これから起こる事を
この純粋無垢な、彼女達に
本能的なレベルでそう思い、無理矢理背を向けさせた
パッと映った画面には人体から植物が生えるという奇妙な絵面
それを見せない様に自分の身体で遮りつつ、リボーンへと視線をやった
彼も私の行動が正解であると賛同する様に頷く
「きっといつもだと飲めない様な良い物があるだろうから、いくつか皆に見繕ってきてくれる？」
素直に別室へ入っていく彼女達を見て、息を吐いた
そして、決してこの部屋に外の声が入らない様にドアを閉める
「…ナイス判断だぞ、A」
「当たり前だよ…こんなの、見せられる訳がない」
軽い音立てながら鎧に穴を開けて群生していく桔梗の花
濃く毒々しい紫の花は、まるで幻騎士の藍色の炎と赤い血を吸って咲いたかの様
「白蘭様が俺を殺すはずがない！！」
薄く白い肌の下に血管の様に浮く桔梗の根
それを嘲笑う、白蘭
「幻ちゃんは本当によくやってくれたよ、小さい器なりに」
こちらに聞こえてくる白蘭の声は、地に伏せる幻騎士には聞こえていない
どこまでも白蘭を信じ抜く、彼にはこの感情ない声が届かない
「でも僕が飽きちゃったから…割るんだ」
「我は白蘭様と共にあり！！」
…なんて、なんて可哀想な
憐れみもなく、ただ純粋にそう思った
どこまでも一人を信じ抜くその姿に、一瞬敵であることもアリア達を裏切ったことも忘れてしまいそうだった
画面いっぱいに映る、顔の原型を留めていない幻騎士の顔は安らかで
「…惨すぎる」
私の声に、何人かが微かに頷いた様な気がした
山本くんが助けようとして接近しようとした時、赤い液体が飛び散る
彼の幻騎士を呼ぶ声が、響き渡った
京子達に、聞こえてしまったかもしれない
そうは思えど、私は画面から視線を外す事が出来なかった
これで、目の前で人が死んだのは2度目だった
綱吉くんの切迫した声が、私達を鼓舞する
それでも私は、唇を噛んだままスクリーンから目を離すことはしなかった
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コアラ - ここで言うのもなんですけど、お風呂の回主人公のあざを作者忘れてますよね〜 (2017年7月2日 5時) (
レス) id: 09b6c4131f (このIDを非表示/違反報告)
金魚ばち(プロフ) - ザン兄に抱きしめられたい。そして作者様のような語彙力が欲しい。 (2016年9月4日 9時) (レス) id: c9325c6a31 (このIDを非表示/違反報告)
@まーく(プロフ) - 更新きた！！やっぱり会長はカッコイイですね惚れる(*´∀｀*)これからも頑張ってください！！ (2016年8月16日 13時) (レス) id: 8711a4e48e (このIDを非表示/違反報告)
主人公って性格最高だわ!!@沢優(プロフ) - とても楽しく読ませてもらってます!!更新頑張ってください！ (2016年7月19日 17時) (レス) id: 7489f80356 (このIDを非表示/違反報告)
ロール(プロフ) - とても面白いです。続き楽しみにしてます！更新頑張って下さい！応援してます！！ (2016年7月5日 0時) (レス) id: ee26429b75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：甘夏蜜柑
| 作成日時：2016年2月19日 23時
