episode…89 ページ15
．
ガチャ
「っぁ！…し、失礼しました！！」
急に開いて入ってきたのは正一くん
何を勘違いしたのか、顔を赤くして出て行ってしまう
「…タイミング悪いなぁ、入っていいよ」
「失礼します…って！何やってんですか白蘭サンは！？」
華麗なるノリツッコミをして見せた正一くん
ゆっくりと身体を私から離す白蘭は笑いながらマシュマロに手を伸ばす
「何って…Aちゃんを誘惑してたんだけど？」
「ゆ、誘惑って…！！」
すぐには手の届かない位置へ退いた白蘭に、身体に入っていた力を抜いた
小刻みに震えている指に、嫌気がさした
「…部屋に戻る」
そう言って、白蘭のいた部屋を出た
後ろからは、正一くんの白蘭に対する怒鳴り声とそれを流す白蘭の声が聞こえてきた
「骸…！」
名を呼びながら、左首筋に手を当てる
スッとなぞっただけでズキリと痛む傷に、安心した
…まだ、消えてない
何度も何度も首筋を触りながら、ヴェル達が待っている部屋へ急いだ
中に素早く入り、音を立ててドアを閉めて鍵をかける
そして、匣を閉まっていたところへ駆け寄り、炎を灯した
私の気持ちが揺らいでいる所為か、焔も不安定に揺れてしまい匣に入れることが出来ない
…落ち着け、落ち着け！！
ギュッと目を瞑り、指輪のしてある右手を左手で握る
少し時間が経てば、焔が小さいながらもしっかりと連続して灯る
「開…匣…！」
カチリと三つに嵌めれば、匣が光りを吐き出す
そこには、数時間前に見たままの三人
「主様！？」
「ど、どうしたの！？」
「…A、説明していただけるかしら？」
その三人を見た途端に、安堵が心を満たす
そして、自然に笑顔を浮かべることができた
「…ううん、何でもないよ。皆の顔が見たかっただけ」
「そうか！」
「…よ、よかった。」
「……」
誤魔化されてくれたのは、単細胞そうなヴェルと純粋なウルド
けれど、スクルドは誤魔化されてくれそうにない
「A、嘘はやめてちょうだい」
眉間にしわを寄せてそういったスクルド
私は、出来るだけ笑みを浮かべて口を開く
「スクルド…大丈夫。私はまだ大丈夫…だから、ね？」
「…限界が来る前に、教えてくださいますわね？」
そうでなければ引き下がらない、とでも言っているようなスクルドの瞳を見ながら、頷いた
「…まずは、日本に行かないとね」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 581人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「リボーン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
BLACK(プロフ) - すっごく面白かったです！骸との絡みとお話の続きが気になります！更新お願いします！ (2021年8月17日 0時) (
レス) id: 5fa5486c5f (このIDを非表示/違反報告)
雪雛 - お身体大丈夫ですか？？体調管理もお気をつけてください。更新待ってます！ (2018年8月7日 20時) (レス) id: 42849da78e (このIDを非表示/違反報告)
はまよう(プロフ) - リボーンの夢小説で一番好きな作品です！ お体に気をつけてください！もしよければ更新待ってます(//∇//) (2018年5月2日 9時) (レス) id: 6acd6d9c40 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫♪♪(プロフ) - お身体に気おつけて更新頑張ってください！ (2018年3月28日 11時) (レス) id: 80ca512ce2 (このIDを非表示/違反報告)
闇の道化師(プロフ) - 退院…出来ましたか？辛いですよね…入院って…これからも応援しているので、気が向いたら更新してくれると嬉しいです。 (2017年5月4日 9時) (レス) id: a4c5ed2f5a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：甘夏蜜柑
| 作成日時：2015年3月13日 18時
