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「和物は全部終わったよ」
「お疲れさま」
最後はAちゃん。今日は採寸だったんだけど、急遽人手が足りないということで、着付けの出来るAちゃんがわざわざ来てくれたんだ。
「9人分は疲れたでしょ？ 」
「衣装さんの大変さがよく分かったよ……」
「あ、そうだ、“万”」
ガタッ！って何故か翔太と舘さんが反応した。おいおい、どうしたんだよ急に。
「……なに？ マネージャー」
おぉーーっと！？？ これはまさかのカウンターだ！ ここからは解説の佐久間さんがお届けします！
帆乃ちゃんが万と呼ぶのはお仕事モードのとき！ なのでAちゃんもつられてマネージャーと呼び返したんですね〜。これはもはや職業病というか癖なんじゃないでしょうか？ あれっ？ にしては帆乃ちゃんの焦りようが半端じゃないですね？ どうしたんでしょーか？
「あっ！！ ごめんごめん、間違えた！ 」
「……？ 」
「A、Aだったね！ 」
「何、急に」
「A戻ってきて」
えっ？ 戻るも何も、Aちゃんはここに――
「…………」
「お、戻ってきた」
「……疲れてんだから変な気遣わせないで」
……なるほど？ なるほどなるほど。こ〜れは大問題じゃん。
俺の推測なんだけどね？ 多分、Aちゃんはあの一瞬でありとあらゆる最悪の事態を想像しちゃったんだと思う。プライベートで万って呼んでくるなんて、帆乃ちゃんに何かあったとしか思えないからね。
例えば、事務所から何か言われた、とか、Aちゃん関連で帆乃ちゃんが大炎上しちゃった、とか。
距離を置かないといけない事態になってるって思っちゃったんだろうね。だから物わかりのよすぎるAちゃんは、元からそうだったようにマネージャー呼びをスっと体に刷り込ませた。お仕事モードになっちゃったんだと思う。あの一瞬のAちゃんは、間違いなく俺らがテレビでよく見る万葵Aの姿だったから。
簡潔に言うとね？ プロ意識やべぇなって話！
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作者名：風呂 | 作成日時：2023年1月29日 15時
