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_同時刻。

「あら銀さん。いらっしゃい」

居酒屋の暖簾をくぐると、グラスを片付ける女将が俺に向かって軽い会釈をする。
どぉも、と頭を下げ適当なカウンター席に座った。

「なんだ源外のじーさんもいるじゃねーか」

空席の目立つ店内、座った席の後ろ。
これまた独り身のジジィがテーブル席を陣取っていた。

「けっ、俺だけの穴場だと思ってたのによォ。店変えようかな」
「あら残念だわ銀さん。丁度新作のメニューが出来たのよ?食べてってくださいな」
「じゃあそれ一つ。じーさんの金で」

こつりとグラスを置く音。
源外のジジィがフンと鼻を鳴らし、酒樽をグラスに傾けた。

「研究所……研究所ねェ」

カウンターに数枚のメモを並べてみる。

真選組の女中、かどうかまでは分からないが、Aと名乗った女が俺に託した奇妙な依頼。

『クローンの研究所を探して欲しい』

クローン。しかも天人のだという。
生物のクローン化自体がそれほど進歩していない思うのだが。
天人のクローン化の研究をしている研究所を片っ端から集めてきて欲しい。という事だった。

『成功報酬?言い値でいいよ』なんて真顔で。
なんだかヤバそうな仕事の気もするが……

Aに依頼されてから、暇を見つけては目星い研究所を渡り歩いているが、動物のクローンは研究していても、天人のクローン化までは研究していない。と首を横に振られた。

さっきも残る最後の候補を訪ねたが、やはりハズレだった。

「天人のクローンなんて本当にやってんのかァ?」
「……天人の人工培養か。懐かしい話だな」
「な!?」

首が取れる勢いで俺は振り返った。

「じーさん、知ってんのか?」
「知ってるっつっても昔の話だがな。てめーが攘夷戦争に参加してた頃の話だよ」

攘夷?

「いっとき、幕府軍が戦闘種族のクローンで編成した精鋭部隊を送り込んで来る、みてーな噂がウチの軍まで届いてな。そん時は酷く慌てたもんだが……結局は引き受けてた研究員が培養に失敗したらしい。それっきりだ」
「その後は……?」
「さァ?っあぁ。一度会った事あるぞ。そいつと。研究費が貰えなくて困ってるとかなんとか」

ばん、と思わずじーさんのテーブルを叩いた。
思ったより大きな音が出て、じーさんが身を引いた。
それに構わず、俺は身を乗り出す。

「それは誰だっ!?研究所は何処にあるっ!?」
「研究所?……まァあるっちゃあるが」


────燃えたな。


はっ?



────燃えたんだよ。原因不明の火災で。

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シヴィル(プロフ) - とっても面白いです!何か理由があって更新できなくなったのかもしれないけど少しずつでいいので進んでみてください。応援しています! (2018年3月27日 16時) (レス) id: 5703f71a40 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あーたぁさんだぎぃ | 作成日時:2018年1月19日 21時

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