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膝から紙が滑り落ちる音で目が覚めた。
資料室で、座り込んだまま寝ていたらしい。
居眠りなんて私も随分腑抜けになったもんだ、と苦笑しながら散らばった紙をかき集めた。
散らばった紙は、おおよそ白紙に近い。
情報がほとんど無いのだ。
ここに来てから、屯所の資料室を漁っては何か手掛かりが無いかと探しているが、核心に迫ったモノは見つからないでいる。
いつまた幕府が動き出すか分からない。
煉獄関と幕府の繋がりを示す確証を見つけ、早急に叩かなければ。
でないと、私はまたあの地下に繋がれてしまう。
自分の周囲に積み重なるファイルをまとめ、立ち上がった。
ここの鍵を渡してくれたのは土方さんだが、他の隊士達は知らない。
部外者の私が、こんなところで見つかったら大変な事になる。
さっさとここから出て────いや、誰かいる。
うんざりとしながら資料棚に背をつけ、耳をすます。
紙をめくる音が、すぐ背後から聞こえた。
棚を挟んで、ちょうど向かい側にいるのだろう。
厄介な事に出口の方向だ。
慎重にファイルを戻し、棚の向こう側をそっと覗いた。
黒い服を着た隊士が、その場でファイルを開いたまま立っている。
隊士から目を離さず、ベルトに付けた小瓶を抜き取り、栓を引き抜く。
床に垂らすと、それは粘着質な動きをしながら出口と反対側へと這っていく。
2つ先の棚へと消えた。瞬間、ドサドサっと立て続けに紙の音。
驚いたように隊士が顔を上げ、音の下方向に歩いていく。
「なんだ?誰かいるのか?」
その声を背後で聞きながら、資料室の扉を閉めた。
危なかった。
居眠りなんてするもんじゃない。
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シヴィル(プロフ) - とっても面白いです!何か理由があって更新できなくなったのかもしれないけど少しずつでいいので進んでみてください。応援しています! (2018年3月27日 16時) (レス) id: 5703f71a40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あーたぁさんだぎぃ | 作成日時:2018年1月19日 21時