届かない、言葉。volume2

声 ページ6

KZにいたときは、楽しかったな。







皆は元気にしてるだろうか。









雅はもう嫌がらせをやめてくれたかな。



そしたら、私の死にも意味はあるよね。









死ぬのは辛いと思ってた。

でもなにもなかった。







辛くて痛い、あの日々に比べたら。









もう戻らなくていいのだと思うと、心がほんの少し軽くなる。









「…でも、ずっとここにいるのは、退屈だなあ…」









何の音もしない、何の光もない、静かな世界なんだもの。









ため息をついて、耳を澄ませてみるけれど。









…？









「………や、………、あ……」









…え。









待ってよ、ちょっと待って。









「…なんで…？」









空耳かな。声が。



どうして、いるの。









私は、死んだんじゃないの。









懐かしい、忘れるはずもない大好きな声。









その声で、私を呼ばないで。









唯一の心残りを、諦めている道を、思い起こさせないで。









「……ヤ、…アーヤ。」







やめて、やめてよ。









辛いのはもう嫌。









皆だって、私のことなんてどうでもいいんでしょ？









どうして、どうして、どうして。









「…帰ってきてよ、アーヤ。」









そんなに切ない声で私を呼ぶの。









“戻りたい”

一瞬でもそう思ってしまったからなのだろうか。









体が重くなって、もう二度と感じたくないと思っていた苦しみと痛みの中、私は瞳を閉じた。

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