＃94 やっぱり ページ47
「ん･･･ぅ」
まだ、たった一回しか経験のないこと。戸惑う私に見向きもしないで、何度も何度も角度を変えて重なる唇。嫌なんかじゃない、でも慣れないことだからかちょっと怖くて、息苦しくて。
「ぷはっ････はぁ･･」
やっと離れれば、肩で息をするほど。そんな私に対して、まだまだ余裕って表情の彼は私と自分の額を重ねて、たった2，3cmの距離でこんな言葉。
「･･へったくそなキス」
「うぅぅうう･･っうるっさい･･･！」
慣れてないの、と言えばふーん、とそっけない返事を返して、手首を掴んでいた手がそのまま私の手を握って、指まで絡ませてくる。
「お･･･おぉっおっきーどうしたの･･」
「･･･わかんね、どーしたんだろ」
なんて曖昧な返事を返して、また口付け。驚きとか怖さとかで視界をぎゅっと閉じれば、ぬるりと滑りこんできたなにかにゾワッと鳥肌が立つような感じがして、目にジワリと浮かんだ涙。
慣れたように、絡ませてくる舌。
慣れないまま、為す術さえない私。
この差は、何？
･･･嘘、わかってる。
「･･おっきー･･･彼女･･いたんでしょ」
「･･･なんで」
「慣れてる、から･･･」
やっぱそーだよね、なんて自分で言って自分で辛くなる。わかってた、初めてなんかじゃないって。でもこうやって改めて考えると、悲しくなる。
「まぁ･･オッキーみたいなかっこいい人が彼女できたことないなんてありえないよね」
「･･･」
「でもなんかちょっと悔しいなぁー。私より先に、オッキーとこうやってちゅーとかデートとかしたことある人がいるって考えると」
過去にまで、嫉妬するなんてバカみたいかな。でも仕方ないでしょ、悔しいものは悔しい。それくらい、彼が好きだから。
「過去の女にまで嫉妬なんざ、意外と独占欲強いんだねぃ」
と、頬を撫でながら。ちょっと恥ずかしくて視線を逸らした。
「･･･ま、居たっちゃ居た。何人か。キスだって腐るほどやった」
でも･･･、と続けて
「好きになれたのは、お前が初めて」
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御影沙羅(プロフ) - これからも、頑張って下さい！！応援してます！ (2015年1月29日 20時) (
レス) id: efba3898be (このIDを非表示/違反報告)
栗兎(プロフ) - 御影沙羅さん» 涙してくれたなんて嬉しすぎます････!!･ﾟ･(ﾉД`)･ﾟ･ ありがとうございます！これからもよろしくお願い致します(*´∀｀*) (2015年1月29日 20時) (レス) id: 199452a05e (このIDを非表示/違反報告)
御影沙羅(プロフ) - 何でかわからないけど54話ぐらいから、涙があふれてきてとまらないよぉぉぉ〜！！（涙） (2015年1月27日 22時) (レス) id: efba3898be (このIDを非表示/違反報告)
栗兎(プロフ) - 美咲さん» そそそ、そうですか!?:(；ﾞﾟ'ωﾟ'): そう言って頂けて嬉しいです(*ﾉωﾉ) これからもカッコいい沖田くんがかけるよう頑張りますね！ (2015年1月23日 20時) (レス) id: cf9d2254e9 (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - あぁ…本当に素敵だと思います。この小説。ドキドキするしキュンキュンする。 (2015年1月23日 20時) (レス) id: 03b867affd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：栗兎 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kuri-Rito/
作成日時：2015年1月6日 16時
