・遅刻魔の清水くん ページ3
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「清水はまた遅刻か…」
はぁと小さくため息をつく先生。
何を隠そう、清水くんはこの先生の授業の始めからいたことがほとんどない。
それに慣れてきてしまった先生は、やれやれと言って慣れた手つきで出席簿に何かを書き込んだ。
「そう言えば忘れ物したんだった。
とってくるから、その間に先週の宿題終わってないやついたら、やっとけよ〜?」
というと、出席簿をパタンと閉じて一応のためかパソコンを脇にはさみ教室から消えていく。
扉が閉まる音を聞いた瞬間騒ぎ出すクラスメートたちは、まるで猿山の猿のよう。
元気なことはいいことだが、もう少し大人しさを学んでもいいと思う。
それに隣のクラスは授業中なのだからそこらへんの配慮も…。
なんて思っていると、教室の扉が閉じる音がもう一度聞こえた。
クラスは一瞬にして静まり返り、視線は扉の方へと向く。
そこには、キョロキョロと教室を見回す清水くんがいた。
「なんだ、清水くんか」
「あの先生どこいったん。遅刻?」
「いや清水くんじゃあるまいし…。忘れ物取りに行ったみたいだよ」
「だらしなっ」
「特大ブーメランだからね??」
ロッカーから教科書をとってきたのか、カバンをそのまま机の横にかけて椅子につく清水くん。
そして「今どこやってる?」と私に聞いてきて教科書をパラパラとめくる。
先週の課題はきちんと終わっているらしく、丁寧に丸つけされたページを開きノートを準備していた。
そしてまた扉の開いた音がしたかと思えば、今度こそ先生だった。
「清水、お前いつの間に来たんだ」
「最初からいましたけど」
「嘘つけ。小川、いなかったよな?」
「小川さんに責任を押し付けるのよくない」
「遅刻したおまえが言うか」
そう突っ込まれると、素直に「てへ」と真顔で清水くん。
廊下に立ってろとまでは言われなかったけれど、この日の課題量は二倍に。
授業が終わったあと鋭い舌打ちをかましながらさっそく取り掛かっていた。
「小川さんもやろーよ」
「いやだよなんで」
「これ次回の分だし予習になるよ」
「とか言って仲間作りたいだけでしょ…?」
「ん」
「んじゃなくて!」
結局、購買名物のイチゴアイスのカップ(¥220)を奢ってもらう約束で私も一緒に取り組んだ。
「美味し」
「俺抹茶の方が好き」
「いちごも美味しいよ?」
「んー、じゃあ今度食べる」
「ん」
清水くんの口癖うつったかも。なーんて。
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作者名:はんそで | 作者ホームページ:
作成日時:2019年6月10日 2時