恋。２

元彼宏光 ページ48

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また少し沈黙の時間が続いてたとき

「ぱぱー」



すずちゃんが砂場から私達のところへ来た






「ぱぱは、Aちゃんすきなのー？」



「はっ？」





……え？




「だってぱぱ、ままとおはなしするときと
おんなじおかおしてるよー？」




こんな顔っ、って
宏光の笑ってる顔を真似するすずちゃん



子供ってそんなところまで見てるんだ。
全然期待したって意味なんかないのに、
また私の心臓がドクドクと鳴るのを
紛らわすために私からも。





「すずちゃん、私とパパはねっ？」

「そうだよ」






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「…え、宏光っ」



「あのなすず、もちろんパパはママが世界一だぜ？」






そう言ってしゃがみ込みすずちゃんの両手を握る宏光





「うん」



「けど忘れらんない人もいんのよ、こんなパパにも」



「わすれらんないひと？」



「パパの大切な時間を一緒に過ごしてくれた人」



「そうなのー？」



「そ。それがこの姉ちゃんなの」



「宏光……」




決して '' 元カノ '' という表現ではなくて
違う形として言ってくれたのは
彼なりの優しさなのか、それとも……─────


いや、そうだ、きっと。







「そうなんだー」



「って言ったらどうする？」



「「へ？」」





思わずすずちゃんと同じ言葉を発してしまった





「そんな人がパパにいたらどうする？笑」



「いまのうそ？」



「もしもの話よ！うっし、そろそろ帰るぞー」





帰る準備しろーって座ってたブランコから立ち上がった




「ぱぱのうそつきー、ままにいっちゃお」



「あっばか、言うんじゃねえ」





じゃれあう宏光とゆずちゃん。


そこで確信したのは、
この目の前に広がってる光景は確かに親子の画であって
宏光が、もちろん私ではない他の誰かと恋が芽生えて、
愛し合った証がすずちゃんであるということ。




…痛感した。
人生で初めて痛感した出来事だったかもしれない。






.







「…すずちゃん、宏光が笑ったときとそっくりだね」



「ま、俺の子だしな」





ふふん、と満更でもないような顔して
少し離れた砂場で片付けてるすずちゃんを
愛おしそうに見つめてる







「宏光らしいね」



「何？さっきの？」



「もしも話、昔も良くしてたでしょ？」



「そうだっけ？でもさっきのは半分まじだったけどな」



「えっ？」






早くしろ腹減ったーって私の聞き返しを無視った


…私ももう、前に進まなきゃいけないんだ。




fin.

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