恋。２

再会 ページ20

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30歳社会人



いい歳してろくに彼氏もできなくて。





出会いがどこかに落ちてないかなって
適当にバーに入ってカウンターに座った





……出会いを求めるのに
バーに行ったことすらもう間違ってる






わかってるのに間違えた道を戻ろうとしないのは、
多分本気で誰かを求めてるから









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「隣いい？」





「…どうぞ」









初対面なのにも関わらず慣れたように
タメで話しかけてきたのは明るめの茶髪で
襟足が少しピンッてしてるチャラいお兄ちゃんだった









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…って思ったのに、







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…どうして、どうしてあなたが









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＊＊＊







高校生のとき、
とんでもないくらいに好きになってしまった人がいた



だけどその人は周りでは垂らしで
チャラいって言われることがしょっちゅうで








色んな子と付き合って、
体の関係だけ持ってた子もいるって噂も出てて。









だけど部活姿のボールを追いかける姿とか、
鼻にかかった声だとか、とにかく私を魅了したの








こんなチャラ男好きになったっていいことないよって
友達にもいつも言われてたけど、
なんでか自分でもわからないほどに好きだった








あの子と付き合ったって聞いたら死ぬほど落ち込んで
別れたって聞いたら次は自分かもっていう
ほぼゼロの可能性を勝手に信じて
勝手に舞い上がってた日々が繰り返されてた







…しんどかったよ、しんどかった。



だけど毎年クラスは違ったけど、
3年生のときに勇気出してチョコを渡した







白い箱に赤いリボンでラッピングして。








「ど、どうぞっ…！！」




「俺にくれんの？」




「受け取ってくれますか、？」




「ふふ、ありがと、しっかり食べんね」




「ありがとう…」




「名前は？」




「A、」




「いい名前じゃん、うっし！しっかり受け取った！」





サンキュ！って言って
去っていったあの姿を私は忘れない








それ以降話してないし
味は保証できなかったし感想も聞けなかったけど、
卒業してからはもちろん会ってない









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…なのに、









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「名前は？」




「…ゆず、」








向こうはもう覚えてないよね、
チョコ渡されただけの私のこと。





ここで再開だなんて、北山くんらしい





覚えてないだろうから苗字の柚川の一部をとってゆず。





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