この恋、出会いは覚えておりません (ページ9)

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「Aさ、今日休みだよな？」

「え？」

「あれ？昨日自分で言ってたけど、違う？」

「いや、休みですけど……」

「じゃあなんか食いに行こうぜ、腹減った。」

うちなんにもないんだよなー、なんて言いながら彼がソファーから立ち上がる。

「あ、あの……」

「ん？」

「お仕事は……？」

「あぁ、俺？俺も休みだって昨日言ったじゃん。あ、覚えてないのか(笑)」

「……すみません」

「別にいいよ(笑) あと、飯の前に一旦Aの家に寄るよ、着替えとかしたいだろ？」

「それは、まぁ……」

「っていうか、なんで敬語？タメ口でいいよ、昨日もそうだったじゃん」

私の頭をポンポンってして、シャワー浴びてくる、って彼はリビングを出て行った。

家に帰りたい？
そりゃ帰りたいよ。
着替えたい？
今すぐにでも。
お腹空いた？
うん、お腹も減ってる。
頭ポンポンってされたよ？
女の子好きだよね、私も好き。

でもそういうことじゃないんだ。
昨日の醜態ことがある。
そして素面の今、彼にどういう態度を取ったらいいのかがわからない。
二日酔いの頭の痛さとは別の頭の痛みに、私は頭を抱えるしかなかった。