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気がつけば、聖水の間はほぼ空っぽになっていた。
慌てて時刻を確認する。午後5時。あと2時間あるか、ないか。一応、急いで部屋に戻る。片付けをとりあえず始めるが、何から手をつければ良いのやら。トランクを開けてみたものの、収納以外に全く何もない部屋に物を片付けるのは、昔から苦手だ。そんなに生きていないけれど。
白天が飛んできて、片付けようとする。物を引っ張ろうとして、その姿のままでは不可能なことに思いあたったのだろう。空いたスペースで人間サイズになった。
日が沈むのを横目に見ながら、黙々と片付けを進める。30分経った頃に、ノックの音が2回なった。落し物などしただろうか。ドアを引くと、そこには、小型のやはり浮いている絨毯の上に、教科書と羽ペン、インクなどの隠れ家で買った物の他に、何を思ったのか鍋やらガラス棒やら用途不明の物たちが積まれている。頭上に3つくらいの疑問符を浮かべながらそれを受け取り、片付けるものが増えたなとため息をつく。教科書は全て本棚に立て、用途不明の物は後回しにした。
開始から1時間後、残るは例の鍋とガラス棒、その他諸々の用途不明の宅配便のみ。どこに片付けるかしばらく迷ったが、収納に片付けるのはどうも気に食わない。そんな理由で、机と本棚の間に押し込んだ。
うーん、と伸びをして小さくなった白天は、窓枠に腰を下ろした。そのまま話すわけでもなく、眠るわけでもなく、何をするわけでもなく、ただ沈黙が続いた。昼間の事を思い出して、ただの沈黙なのにこうも変わるものかと欠伸をする。
マントを着用し、バッジさえ着けていればそれで良しとする緩い制服規定に苦笑しながら、マントのリボンを結び直した。
部隊の仮配属はいつ告げられるのだろうか。白天に問うと、笑われる。後で聖水の間に貼り出しておくって言われたじゃない、そう言われても、そんなことを言われただろうかと首をかしげるが、考え事でもしていたのかと答えにたどり着く。
やることもないからという理由で聖水の間の横、色水の円盤へ向かった。ステンドグラスと色水が入った硝子でできた空間。淡い色彩に包まれたそこは、どこか神無月に似た雰囲気を纏っている。呼びに行こうかと迷っていると、ここに、いた、と彼の声がした。階段を降りてくる姿を見て、綺麗だと思った。理由など、わかるわけもないけれど。どうしてここに、と訊いてみる。なんとなく、水月、いるような気が、したから、と返ってくる答えによく分からないなと苦笑した
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作者名：天川凛廻 | 作成日時：2017年12月24日 20時
