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文句を言いつつ、結局着替えるあたり、素直なのか面倒臭がりなのか。器用に着なれていないであろう洋服に着替えて、着物をたたみだした。あんな洋服、特にスカートなんかよくあったもんだと思う。
そんな謎の感心をしながらさっさと外出用の服に着替えた。まだたたんでいるかと思ったが、正座をして静かに待っていた

「静かに待つってこと知ってたんですね。と言うか、妖精ってそんなに礼儀正しいものなんですか?」

「それくらい知ってるよ。全般がそうかは知らないけどね。少なくとも一部の日本の妖精は。それはそうと、君も僕に敬語を使うのはおかしな事になるのではないかね」

「そ、それはそうですけど――直前まで許してください。と言うかそういう関係と言うか……キャラじゃ駄目ですか。敬語を使う感じの」

「うん、駄目。僕……じゃないや、私だっていろいろと変えてるわけだし、不平等だよ。ほら、お姉ちゃん行こう」

こいつ馴れてるな、なんて思いつつあとに続く。妖精サイズではないのだから見失うことはないと思うが、手を繋いでいた方が良いだろうか。

「うわ、な、何するのさ」

「いや、はぐれないように手を繋いでいた方が良いかと思って」

「はぐれないよ、多分。それにはぐれたってすぐに見つけられるし」

手を取っただけで肩を跳ねさせ、こちらを向いて目と共に離すように訴えた。理由を述べればそっぽを向いて私の手のなかから脱してしまった。それから数秒後にこいつは120歳の妖狐なのだから大丈夫なはずであることに思い当たった。

「あ、ちゃんとリスト持ってきた?」

「うん、持ってきたけど……これはどこに行ってるの?」

「うん、隠れ家。大体のものはそこで取り揃えられてるから、今回はそこだけで全部揃うよ」

「いや、怪しい感じしかしないのは私だけかね」

「うん、多分ね。まぁ、悪いことは全然やってないから大丈夫だよ」

悪いことをやっているところに連れていく奴なんてあっち側の人間くらいだろう。見覚えのある道ではあるが、雰囲気がいつもとは違っていた。この妖狐がなにかしているのだろうか

「ねぇ君、今なんかやってる?」

「いや、なんもしてないけど、どうかしたの?」

「道の雰囲気がちょっと違うなって――」

「あ、気づいた?普段、君が見てたのは人間(サーキュリー)が住んでる世界。今君が見てるのは魔術師(リンド)たちが住んでる世界」

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作者名:天川凛廻 | 作成日時:2017年12月24日 20時

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