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いや待て、こいつ付いてくるのか?いや、ちっちゃいとはいえ、見られる危険性はゼロではない。いやいや、それ以前に私が独りで話している変人になるじゃないか。
「いや、あの、付いてくるんですか?」
「うん、ついてくよ。それがどうかしたの?」
「どうかしたのって――誰かに見つかったらどうするんですか」
何も言わずにニコニコと笑っているのだが、そんな余裕はないのではないかと思う。一体、この妖狐は何を考えているんだ。
「うん、僕が良いよって言うまで目、閉じてて」
「いや、閉じてどうするんですか」
そう言い返すが早いか、目を強制的に閉じさせた。言い返し終えて10秒後、床にトンと衝撃が走った。恐怖心が募るなか、ふぅっと息をつく音がした。
「うん、もう開けていいよ。あ、いや、ちょっと待って」
「どっちですか。5秒後にもう目開けますから」
「ちょ、待ってよ。5秒は早い」
5秒で早いならどれだけ待てばいいんだよ。心の中で文句を言って、20秒にしてカウントを始めた。15秒経ったとき、独特な高音が耳をついた
「うん、いいよ。今度こそ大丈夫」
「いや、ちょっと待って。君は誰ですか。と言うかどこから入ったんですか。そしてあの妖狐はどこに行ったんですか」
声は同じなのだが、この少年は誰だ。小学2、3年生くらいの獣の耳と尻尾を着けた着物少年なんて私の小学校にはいなかったはずだ。勿論、知り合いや親族にもそんな輩はいない。
「え、ちょっと本気で言ってるの?僕だよ、白天。さっきまで目の前に居たじゃないか」
「いや、大きさ変わってるじゃないですか。あ、大きくなったのか――」
「うん、そういうこと。で、何故まだそんな顔を」
いや、大きくなってもまだ1番の問題、耳と尻尾が生えたままではないか。そして今更だが、白髪と紫色の目はどうするんだろうか。
「あ、耳と尻尾はちゃんと見えないようにできるから大丈夫。だけど疲れるから直前にね」
「髪と目の色はどうするんですか。そして着物も目立ちます」
「うむ、そうかな。普通だと思うのだけど」
「いや、普通じゃないですから。服用意しますから待ってください」
女顔でいつも着物を着ているのならプリーツのスカートが良いだろうか。あとはフードのある上着を羽織わせればどうかなるだろう。今が冬で良かったと思う。
「はい、これに着替えてください」
「うん、これ女の子の服だよね。別に動きやすそうだし良いんだけどさ」
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作者名:天川凛廻 | 作成日時:2017年12月24日 20時