ep.150 帰り道 ページ16
『う"っ...肩と腰がもう崩壊寸前...』
駐車場に到着した私は、白のRX-7の輝く車体に片手を付いて、腰を抑える。
降「大丈夫か？」
『んー、大丈夫じゃないけど大丈夫です。』
降「なんだそりゃ」
降谷さんは少し笑いながら、心配そうに手を差し伸べてくれた。
降「ほら、帰るぞ」
ドアを開けて、私が乗りやすいようにしてくれている。
『...またそうやって優しくして』ﾎﾞｿｯ
降「？...何か言ったか？」
『何にも！ありがとうございます。』ﾆｺｯ
今の優しさもハニトラなのか素なのか。
行きに注意されている手前、油断は禁物だ。
どうせ業務的な優しさだろうと、半ばやけくそになりながら、手のひらを重ねた。
キュッ
『っ！』
その瞬間、びっくりするほどしっかりと手を握られる。
自分よりも一回りも、ふた周りも大きな手。
何の根拠もないが、まさか握られるとは思っていなかったので、心臓がはねる。
降「...なんださっかから。何か言いたいことでもあるのか？」
固まる私に降谷さんが、怪訝そうに眉をひそめる。
...何もそんな怖い顔しなくても...
『...降谷さん意外と手、温かいんですね！』
降「お前が冷たいだけだろ」
『手が冷たい人は心が温かいんですよ！！』
降「どーだか」
『あー！バカにしてますね？！』
降「うるさい、早く乗れ」
『わっ...！』
バタムｯ
自分の口がよく回る口で助かった。
咄嗟の返しでなんとか乗り切る。
私を助手席に押し込んだ降谷さんは、車の後ろを回って運転席へ。
その後は仕事の話やポアロの話など、他愛もないことをポツポツと口にしながら帰った。
『送って頂いてありがとうございました。』
降「あぁ。じゃあ、またポアロでな。」
『はい。おやすみなさい』ﾍﾟｺ
家まで送り届けてくれた降谷さん。
一礼してから門を開ける。
降「...千尋」
『...？』ｸﾙｯ
門を開けて中へ入ろうとした時、降谷さんが小さい声で私の名を呼ぶ。
降「...無理はするなよ。」
『っ...！///』
降谷さんは一度目線を下げたあとで、私の目を見てまっすぐ言う。
あぁ、まただ。心臓がうるさい。
降「それと今日のこと。生活課に提出する書類には、友人と行ったと書け。面倒になりそうだから安室透も書くなよ。」
『は、はい...！』
降「じゃあ、おやすみ。」
『お、おやすみなさい...』
私が自身の鼓動に戸惑っているのをよそに、降谷さんは最後にぬかりなく仕事の話をしてから、去っていった。
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りんねむ(プロフ) - sherryさん» sherryさん、コメントありがとうございます！時間がある時に、がんばって更新したいと思いますm(*_ _)m (2022年5月18日 17時) (
レス) id: a65ebb8e54 (このIDを非表示/違反報告)
sherry(プロフ) - 続き楽しみにしてます！ (2022年5月13日 9時) (レス) id: 5b04212fee (このIDを非表示/違反報告)
りんねむ(プロフ) - 朱音さん» 朱音さん！コメントありがとうございます(泣)頑張ります*_ _) (2022年3月28日 1時) (レス) id: a65ebb8e54 (このIDを非表示/違反報告)
朱音 - ゆっくりでいいので更新頑張ってください！ (2022年3月26日 15時) (レス) id: 99e1269188 (このIDを非表示/違反報告)
りんねむ(プロフ) - あっちゃんさん» コメントありがとうございます！！時間ができたら更新するように頑張ります！！m(*_ _)m (2021年9月12日 2時) (レス) id: a65ebb8e54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りんねむ | 作成日時：2020年4月14日 21時
