ep.113 感 ページ22
赤「千尋…」
『なんですか?』
博士の家を出て、工藤邸を通り過ぎてから私の家に着く。その距離約50m。
鍵を開けて中に入ると、赤井さんがふと私の名を呼んだ。
赤「ジンたちに俺と会ったことは黙っていてほしい」
『え?』
赤「それと降谷くんにも」
ガチャりとドアの閉まる音がして、聞こえるのは私と赤井さんの息遣いだけ。
『…いいですよ』
私は赤井さんに背を向けたまま静かにそう言った。
赤「…すまない」
すると小さく悲しげな声で謝る赤井さん。別にいいのに。
『別に気にしませんよ。謝らないで下さい?』
そう言ながら電気をつけて、リビングへと足を進める。
赤「聞かないんだな、理由」
『聞いてほしいんですか?』フフッ
赤井さんはリビングの入り口に立って話す。
今、なんとなくだが"わかった"気がした。
ジンさんたちの名前を出したときの二人の反応。それに対する詮索。そして降谷さんの名前を出したこと。
あくまでも私自身の"感"であって、はっきりとした確証はない。でも、FBIエージェントが口止めをしているんだ。考えたくは無いが、そういうことなのかもしれない。
…きっと仲直り大作戦をするんだ。
『送って頂いてありがとうございました。なた何かあったら相談させてくれますか?』
赤「あぁ、もちろんだ。」
未だリビングの入り口で突っ立ったままの赤井さんに声をかける。一言だけ答えると、彼はくるりと背を向けて玄関へと向かう。
私も荷物を置いて上着を脱いで、彼のお見送りに向かう。
赤「千尋…」
『なんですか?』
また赤井さんが私の名を呼ぶ。
私に背を向けているのでその顔を見ることは出来ない。が、また酷く悲しげな声だったように思う。
赤井さんは黙ったままだ。
『赤井さん…?』
赤「……。
『え、あ、赤井さんっ…!?』
ガチャリ
そう言って赤井さんは出ていってしまった。
一瞬のことで、引き止めることはできなかった。
最後の言葉…私もバカじゃない。FBIエージェントがあぁ言うんだ。…きっとジンさんたちには"何か"があるのだろう。でもそれは、今の私は知らなくていい。
何が
わかっていた。薄々気づいていた。あんな人気のないバーで全身黒ずくめの人たち…。ただの一般人なはずがない…
やっばり…
ジンさんたちは感が鋭いから、サプライズする時は慎重にってことだな。
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りんねむ(プロフ) - コメント、応援ありがとうございます!これからももっともっと楽しんで頂けるよう頑張ります!! (2020年4月11日 2時) (レス) id: 529938dd30 (このIDを非表示/違反報告)
#Marisa - めちゃくちゃ面白いです!これからも応援してます!更新頑張ってください! (2020年4月11日 1時) (レス) id: 12856f7fd8 (このIDを非表示/違反報告)
りんねむ(プロフ) - イアデビルさん» コメントありがとうございます!!頑張ります!!(^_^)丿 (2020年4月4日 17時) (レス) id: 529938dd30 (このIDを非表示/違反報告)
イアデビル(プロフ) - 面白いです!更新待ってます!頑張ってください! (2020年4月3日 13時) (レス) id: ef5404f845 (このIDを非表示/違反報告)
りんねむ(プロフ) - ルイさん» コメントありがとうございます!ファミリー揃うのマジか!!って感じです!私も公開日に絶対見に行きます!(^^)v (2019年12月6日 16時) (レス) id: 529938dd30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんねむ | 作成日時:2019年11月25日 0時