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あまりに唐突な言葉に身体中が凍りついたように固まる。フロイド先輩が突拍子のない事を言うのは承知のことであった。だけど、こんな事を言うなんて。
「してくんねぇの？」
私より遥かに背が高い彼だが、甘えたような声を出しているためそのギャップにかわいさと母性を感じる私がいる。だが、さすがにこれはいけない。しっかりと断るべきである。
「ご…ごめんなさい…。でき…な…。」
いつもより一層小さい音で呟くような声になる。
なぜなら、先輩に食べさせる自分を想像し、赤くなってしまっていたからだ。
恥ずかしすぎて最後の言葉まで言うことができなかった。
「え〜。なんで？いいじゃ…。」
「フロイド。仕事ですよ。」
不満げなフロイド先輩の話を遮るように、ジェイド先輩が足音をたてながらこちらに向かってくる。
横から舌打ちが聞こえ、分かったよ。と、ため息まじりの声と共に先輩が立ち上がる。
少し「仕事」とという呼び方に違和感を覚え、体をすくめる。
それを知ってか知らずか、先輩が私の頭を撫で、猫なで声で微笑む。
「ごめんね稚魚ちゃん。俺、これから仕事みたぁい。」
さっき私を撫でていた先輩の顔が変わり、不服そうな表情をしながら離れていく。
「は…はい…。えっと…ありがとう…ござい…まし…た…。」
フロイド先輩の後に続けるように感謝を告げる。それに先輩は、いいよぉ、なんて背を向け子どものような返しをして私から見えなくなった。
寮から出ていった先輩達に疑問を感じたが、料理が冷める前に食べてしまわないと、という謎の使命感によってその疑問はすぐに消されてしまった。
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作者名：りん | 作成日時：2021年7月25日 16時
