なんか、憑かれた。

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私と優太は、それぞれの部室に向かう。

ちなみに優太はバスケをやっている。


それぞれの教室がある第一校舎とは反対にある第三校舎の廊下を抜けて、突き当たりを左に曲がると、我らが美術室が現れる。

私は、先輩達の声が微かに聞こえる厚いドアを、ガラガラッと開けた。

「こんにちはー…」

私があいさつをすると、

「おーAちゃん!こんにちは〜」

「こんにちは!でもちょっと時間押してるよ？」

「日壁先輩、こんにちは〜」

「あれあれ？今日ちょっと遅いじゃん、A。」

と、皆があいさつを返してくれた。

私は美術部のこういう明るいところが好きだ。
居心地もいい。

すると、顧問のみっちゃんこと三直(みのう)先生が

「日壁さん、今日二年生のやることは文化祭に出すデッサンなんだけど、自分の好きなものを選んで描いてほしいの。
何が描きたい？」

「人の友情の硬さと脆さ。…すみません。
えっと、じゃあ貫通で。」

ウケ狙いで言ってみたら、みっちゃんに冷めた顔をされた。結構、精神的にく来るものがある。

「分かった。貫通ね〜。円柱と角柱のどっちがいい？」

「うーん。じゃあ円柱で。」

話が終わると、準備室の方に先生は消えた。

貫通とは、デッサン用の石膏像で、円錐の上部に角柱か円柱が垂直にぶっ刺さってる像のこと。

みっちゃんが聞いてくれたのは、ぶっ刺さってる物体は何がいいか、ということで、私は描きやすい円柱の方を選んだ。


しばらくしてみっちゃんが帰ってきた。
どうやら今日はすぐに目当てのものが見つかったらしい。(みっちゃんは忘れやすい鳥頭だから、普段は先輩達の手を借りるので結構おそい。)

みっちゃんから受け取った像を机に置き、大きさを目分量で測り、頭の中で拡大縮小する。
そして、ちょうどいい感じの拡大縮小が終わったら紙に描いていく。

今思ったけど、今日は大まかな側(輪郭)を描いたら、絶対的にチャイム鳴るよね。

そして私の予想は外れる事なく、今描き終わった瞬間、チャイムが鳴ったのだった。

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