囚われのうさぎ 3

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バイパー君の話を聞いて自分と比較してしまった。

私にそんな相手居ないから。

同世代の子達とも打ち解ける事が出来なくて一人遊びばかりしていた過去がふと顔を出し、少しだけ悲しい気持ちになる。


「君達オクダヴィネルの三人も幼馴染みだったか？」
「そうらしいね〜」


相変わらずな返答に、矢張り彼は根っからの気分屋さんだったのだと再度思い知りました。

ここまで一貫している思考回路って逆に素晴らしい事なのではと感心してしまうくらい。


「興味に斑(むら)があり過ぎでは…」
「何となく想像がついてしまう」


もし今とそこまで変わらない感じだったのなら、周りの子達はどうしていたのだろうか。

少なくとも私は生きた心地してないと思う。


「それは内密にと何度も言いましたよね…！」


グリム君の口を抑えるアーシェングロット君はちょこっと慌てた様子で自然と口角が上がった。

私としては凄く可愛らしい姿だなと思ったし、どうしてそこまで徹底するのかは分からないけれど、本人が嫌だと感じているのなら無闇に口出しするのは良くない。


いつかこの話が時効になったらもう一度可愛いよって言いたいな。


「ちょっと楽しそう…」

ごっこ遊びって言葉を耳にしたのなんていつ以来だろうか。

私も小さい頃は飽きる事無く毎日遊んでたっけ。

勿論、相手はお父さんとお母さんだけ。

友達の一人くらい居たならと思った事も少なくはない。

それでも不満なんて少しも無かったし、仕事の合間を縫って私に構ってくれた二人には凄く感謝してる。


「Aもやる？主人はオレぇ」
「まだまだこれからも人間らしい生活がしたいから遠慮しとくね」


生憎と私は、面白いからという理由で言う事を聞けるほど愉快な精神は持てないのです。

挑む勇気だって微塵も無いのです。

もし仮にリーチ君が主だったとして、私なんかが彼と対等な関係になれるわけがない。


きっと反抗しようものなら瞬時に巻き付かれてお仕舞いだ。


「つーか、副寮長は寮長の家来じゃないし。フツーじゃん」
「…普通、ね」

生まれた時からアジーム家の従者なバイパー君にとっては分からない感覚だと言う。

これは自慢じゃないんだけど、私も全く理解出来てないから安心してほしいな。

多分リーチ君達がちょっと特殊なんだと思うんだ。


「主人は主人、従者は従者だ。おそらく、一生な」


諦めたとも開き直ったとも受け取れるその言い方が頭に引っ掛かった。


どうしてだろう。

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